飲食店の適切な原価率は30%?業態別ランキングと利益を最大化する5つの改善策

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飲食店の利益を左右する最大の指標である「原価率」。昨今の原材料費や光熱費の高騰により、かつての目安であった「30%」という基準だけでは利益を出すのが難しくなっています。

本記事では、公的統計データに基づく最新の業種別原価率ランキングから、利益を最大化させるための計算方法、今日から実践できる原価率を下げるコツまでを専門的な視点で徹底解説します。

原価管理を徹底して安定経営を目指す方はもちろん、コスト上昇により「今の業態で続けるべきか」と出口戦略(居抜き売却)を検討し始めたオーナー様も、ぜひ経営改善のガイドラインとしてご活用ください。

飲食店の原価率とは?

飲食店経営において、利益を左右する最も重要な指標の一つが「原価率」です。どんぶり勘定の経営から脱却し、安定した収益を確保するためには、まず原価の正しい構造を理解する必要があります。

原価率の意味と売上・粗利との関係

原価率とは、売上高のうち「食材費」が占める割合

原価率とは、売上高に対して「原材料費(食材費など)」が占める割合のことです。
売上から原価を差し引いたものが「売上総利益(粗利)」となります。

売上 - 原価 = 粗利

  • つまり、原価率を適切にコントロールすることは、そのまま手元に残る利益(粗利)を最大化することに直結します。

原価率が高い・低いとどうなるか

【原価率が高い場合】

  • メリット: お得感が増し、集客しやすくなる
  • リスク: 利益が圧迫され、高い回転率がないと赤字になりやすい

【原価率が低い場合】

  • メリット: 1品あたりの利益(粗利)が増える
  • リスク: 質やボリュームの低下により、顧客満足度が下がる恐れがある

飲食店における原価率の平均は30%

一般的に、飲食業界の原価率の目安は「30%」と言われています。しかし、これはあくまで全メニューの平均値です。看板商品(高原価)とドリンク(低原価)を組み合わせ、トータルで30%以内に収める「メニューミックス」の考え方が重要になります。

原価率30%という目安の前提条件

この30%という数字は、かつての「FLコスト(原価+人件費)=60%」という定説に基づいています。しかし、近年の食材費高騰や人件費の上昇により、必ずしも30%が正解とは限りません。業態や立地(家賃比率)によって、目指すべき数値は変動します。

原価率の求め方

正確な原価率を把握するには、1品ごとの計算だけでなく、月単位での「理論原価」と「実際原価」の差を知ることが不可欠です。

1品ごとの原価率の計算方法

まずはメニュー1品あたりの原価率を算出します。

【計算式】 原価率(%) = 1品あたりの原材料費 ÷ 販売価格 × 100

  • 例:1,000円のハンバーグの場合 使用する肉・野菜・調味料の合計が320円なら、 320円 ÷ 1,000円 × 100 = 32% となります。

月次の原価率の計算方法

店舗全体の健康状態を知るためには、月単位での計算が必須です。

【計算式】 月次原価率(%) = 当月使用した原材料費の総額 ÷ 当月の総売上高 × 100

例えば、月間の総売上が300万円、その月に使用した食材費の合計が100万円だった場合: 100万円 ÷ 300万円 × 100 = 33.3% と算出されます。

【原価率の求め方例】

例えば、ある月の店舗実績が以下のようだった場合で考えてみましょう。
月間の総売上: 300万円
月間の仕入れ値: 100万円

【計算式】 100万円(仕入れ) ÷ 300万円(売上) × 100 = 33.3%

この数値を毎月継続して記録することで、現場での食材ロスや、仕入れ価格の急騰といった異変にいち早く気づくことができます。

棚卸しのやり方と月次原価の出し方

より正確な月次原価を出すためには、単なる「仕入れ額」だけでなく、手元に残っている在庫を考慮する「棚卸し」が不可欠です。

なぜなら、「今月仕入れたもの」と「今月使ったもの」は必ずしも一致しないからです。正確な原価(売上原価)は、以下の計算式で導き出します。

【正確な売上原価の出し方】

売上原価 = 期首在庫(前月の残り) + 当月仕入高 - 期末在庫(今月の残り)

なぜ棚卸しが重要なのか?

  • 仕入れを抑えたのに原価率が高い場合: 倉庫に眠っていた前月までの在庫を大量に消費した可能性があります。
  • 大量に仕入れたのに原価率が低い場合: まだ使わずに在庫として残っている分は、今月の「原価」にはカウントされません。

「今月、実際にいくら分を消費して売上を作ったのか」を把握することこそが、原価管理の真髄です。

飲食店の理想的な原価率の目安

原価率の目安を決めるポイント

理想的な原価率は、「どんな店か」によって決まります。

  1. 看板商品の有無: 客寄せパンダとなる「原価率50%の目玉商品」を作るなら、他で20%の商品を売る必要があります。
  2. サービス形態: セルフサービスなら人件費を抑えられる分、原価率を高く設定できます。

自店の原価率が高いか低いかを判断する方法

自店の数値を客観的に評価するには、公的機関が発表する最新の統計データと比較するのが最も有効です。

中小企業庁の最新調査(令和5年発表分)によると、飲食業(「飲食付宿泊業」を除く「飲食店」)の売上高売上総利益率(粗利率)の平均は 64.9% となっています。

【最新統計から見る飲食店の損益構造】

  • 売上高対売上原価率(原価率):35.1%
  • 売上高総利益率(粗利率):64.9%

出典:中小企業庁「令和5年中小企業実態基本調査(令和4年度実績)」

かつての目安は「原価率30%」でしたが、現在は35%前後まで上昇しているのが業界全体のリアルな実態です。もし自店の原価率が40%を超えている、あるいは粗利率が60%を切っている場合は、メニュー構成や仕入れルートに構造的な課題がある、あるいは「今の業態が現在の市場価格に合っていない」という強力なサインとなります。

飲食店の回転率とは?目安や売上アップの方法はこちら

【飲食店】業種別の原価率ランキング

業種によって原価の構造は大きく異なります。

順位業種原価率の相場特徴と利益確保のポイント
1位そば・うどん・ラーメン店33% 〜 42%原材料費の高騰が直撃しやすい。特にラーメンはスープ等のこだわりにより40%を超えるケースが多い(公庫指標参照)。
2位一般飲食店(レストラン等)32% 〜 38%中小企業庁の調査でも、平均的な売上原価率は約35.1%となっており、最も標準的な数値。
3位酒場、ビアホール(居酒屋)28% 〜 34%酒類の構成比によって変動。公庫の指標では、ドリンク比率の高い店舗ほど原価率が抑えられる傾向にある。
4位喫茶店(カフェ)23% 〜 28%統計上、最も原価率が低い。ただし、売上に対する人件費や家賃比率が他業態より高くなりやすい。
日本政策金融公庫「小企業の経営指標(2023年度版・2024年度版)」

先ほどの表で見た通り、業種によって「勝てる原価率」は異なります。ここでは各業種がなぜその数値を目指すべきなのか、具体的な利益確保の戦略を解説します。

1位:そば・うどん・ラーメン店(33% 〜 42%)

原価率が最も高いこの業態は、「1円単位のコスト管理」が命運を分けます。

  • 深掘り: ラーメン店などは「こだわり」を追求するほど原価が上がります。利益を残すには、原価率10%以下の「大盛り」「トッピング」「ライス」の注文率をいかに上げるかが鍵です。
  • 具体策: 券売機の左上にトッピングを配置するなど、視覚的に低原価メニューを選ばせる工夫が必要です。

2位:一般飲食店・レストラン(32% 〜 38%)

最も標準的なこの業態は、「季節による変動」をいかに吸収するかがポイントです。

  • 深掘り: 食材の種類が多いため、一部の野菜が高騰しただけで原価率が跳ね上がります。
  • 具体策: 特定の食材に依存しない「週替わりメニュー」や、端材を使い切るスープメニューなどで、月間のトータル原価率を平均化するスキルが求められます。

3位:酒場、ビアホール・居酒屋(28% 〜 34%)

居酒屋は、「フードで呼び、お酒で稼ぐ」という役割分担の徹底が重要です。

  • 深掘り: フードの原価率を下げすぎると「コスパの悪い店」として客離れを招きます。
  • 具体策: 看板メニュー(刺身など)は原価率50%超えで勝負しつつ、2杯目以降の注文を促すドリンクキャンペーンや、高利益なハイボールのバリエーションを増やすことで、全体のバランスを取ります。

4位:喫茶店・カフェ(23% 〜 28%)

原価率が低いからといって安心できないのがカフェ業態。「時間あたりの利益」を見なければなりません。

  • 深掘り: 原価率は優秀でも、コーヒー1杯で数時間滞在されると赤字になります。
  • 具体策: ランチタイムの混雑時には時間制限を設ける、あるいはテイクアウトのコーヒー販売を強化して「席数に縛られない売上」を作ることが、実質的な利益改善に繋がります。

自店の業態に近い原価率をチェックする方法

ランキングの数値はあくまで「全国平均」の目安です。自店の立ち位置を正しく判断するために、以下の3ステップを実践しましょう。

  1. 競合店のメニュー価格をリサーチ: 近隣の同業態の価格設定を確認し、自店の値付けが市場相場から外れていないかチェックします。
  2. 「加重平均原価率」の算出: 単純な全メニュー平均ではなく、実際に出た注文数に基づいた「理論原価率」を計算し、今の構成で利益が出るかを検証します。
  3. 公的指標との比較: 中小企業庁や日本政策金融公庫が発表する最新の「経営指標」をベンチマークにし、自店の数値が乖離している場合は早急に改善策を講じましょう。

飲食店の原価率を下げる4つのコツ

より安定した利益を得るために、バランスをよく考えて原価率を下げる工夫を行いましょう。飲食店の原価率を下げるための、4つのポイントを紹介します。

・フードロスを削減する
・在庫管理を徹底し無駄を省く
・仕入れ先・方法を見直す
・価格やメニューを改定する

1.フードロスを削減する

食材の廃棄は、そのまま利益の損失に直結します。農林水産省の調査(令和3年度)によると、事業系食品ロスはいまだ年間約279万トンにのぼり、飲食店における主な原因は「食べ残し」と「仕込みすぎによる売れ残る」です。

  • 需要予測の精度向上: 予約状況や過去の来店データに基づき、適切な仕込み量を徹底する。
  • 食材の使い切り: 廃棄になりそうな食材を「本日のスープ」や「賄い」に活用する、あるいは冷凍保存を活用して保存期間を延ばす工夫が必要です。

農林水産省「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢(令和5年公表資料)」

2.在庫管理を徹底し無駄を省く

「何が、どこに、どれだけあるか」を把握できていないと、重複発注や期限切れによる廃棄が発生します。

  • 「先入れ先出し」の徹底: 古い食材から使うルールを徹底し、期限切れを防ぎます。
  • オーバーポーションの防止: 現場での目分量は原価率をじわじわと悪化させます。計量スプーンやスケール(秤)の使用をマニュアル化し、規定量を守ることが重要です。
  • 在庫管理システムの活用: 手書きの棚卸しから脱却し、システムで適正在庫をリアルタイム把握することも有効な手段です。

3.仕入れ先・方法を見直す

食材の仕入れ値は、工夫次第で下げることが可能です。

  • 相見積もりと価格交渉: 定期的に複数の業者から価格を取り寄せ、市場相場と比較します。
  • ボリュームディスカウント: 特定の業者に発注を絞る代わりに、単価を下げる交渉を行う
  • 複数ルートの確保: 天候不良などで特定の食材が高騰した際、代替品や別の仕入れルートを即座に確保できる体制を整えましょう。

4.価格やメニューを改定する

原価率を下げる最も直接的な方法は、売るものと価格を変えることです。

  • 「粗利額」を重視したメニューミックス: 原価率が低いメニュー(例:ドリンク、デザート)と、原価率は高いが集客力のある看板メニューを組み合わせ、店舗全体の「トータル原価率」をコントロールします。
  • 値上げのタイミング: 原材料費が5〜10%以上高騰し、経営を圧迫している場合は価格改定の検討時期です。単に値上げするのではなく、盛り付けやストーリー性を強化し、顧客に「価値」として納得してもらう工夫を添えましょう。

飲食店の利益率の目安は?
計算の仕方や上げる方法はこちら

飲食店経営の悪化は原価率の高さだけが理由ではない?

「原価率さえ下げれば利益が出る」と考えがちですが、飲食店経営はそれほど単純ではありません。原価率が適正でも、他の要因でキャッシュが残らなければ経営は破綻します。

原価率だけでなく見るべき数字(FLコストなど)

飲食店経営の健全性を測るには、原価率(Food)に人件費(Labor)を加えた「FLコスト」、さらに家賃(Rent)を加えた「FLRコスト」を注視する必要があります。

  • FLコストの目安:60%以下 (原価30% + 人件費30%)
  • FLRコストの目安:70%以下 (FLコスト60% + 家賃10%)

近年は人手不足による採用費・人件費の高騰、さらに光熱費の上昇により、この比率を守ることが非常に難しくなっています。原価率が25%と優秀でも、過剰なスタッフ配置や立地に見合わない高額な家賃を支払っていれば、利益は一瞬で消えてしまいます。

経営改善の基本「QSC」の再点検

数字の改善と同時に忘れてはならないのが、飲食店の基本である「QSC」です。

  • Quality(品質): 料理の味、盛り付け
  • Service(サービス): 接客の質、提供スピード
  • Cleanliness(清潔さ): 店内の清掃、衛生管理

原価を削りすぎてQSCを損なえば、顧客満足度が下がり、客離れという負のスパイラルに陥ります。DX(予約システムやセルフオーダー)の導入などで効率化を図り、QSCを高めつつ利益を出す仕組みづくりが求められています。

QSCとは?
経営の基本や考え方について詳しくはこちら

経営がうまく回らないなら「早めの撤退」を視野に入れる

あらゆるコストカットや改善策を尽くしても利益が残らない場合、それは努力不足ではなく、「立地や業態が今の市場に合わなくなっている」可能性があります。

「戦略的撤退」という選択肢:経営が悪化しきる前に見切りをつけ、計画的に閉店することを「戦略的撤退」と呼びます。多額の負債を背負う前に、店舗という資産を価値があるうちに手放すことは、次の挑戦を可能にする賢い経営判断です。

赤字が膨らむ前の判断が重要:「いつか上向くはず」と先延ばしにし、運転資金が底をつけば、数百万円かかる原状回復費用(スケルトン戻し)すら払えなくなります。

戦略的撤退について詳しくはこちら

飲食店経営は厳しい?原因・立て直す方法はこちら

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原価率を見直して、飲食店の経営安定を目指しましょう

飲食店の原価率とは、売上高に占める食材費の割合を指し、店舗の「利益の源泉」となる重要な指標です。 原価率が高すぎれば、どれだけ忙しく働いても手元に利益が残りません。まずは自店の業態に適した目安を知り、仕入れや在庫管理、メニュー構成の見直しを通じて、利益を最大化させる工夫を行いましょう。

もし、あらゆる経営努力を尽くしても状況が改善しない場合は、「戦略的撤退」を検討する時期かもしれません。赤字を出し続けるよりも、店舗に価値が残っているうちに次のステップへ踏み出すことは、経営者として極めて前向きな判断です。

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