飲食店業界の廃業率が高いのはなぜ?今後の経営見通しや廃業の流れついても解説

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廃業率が高いといわれる業界の1つである飲食店業界。飲食店経営者にとっては、無視できない現状でしょう。ここでは、なぜ飲食店の廃業率が高いといわれるのか、廃業の流れや今後の経営見通しなどを含めてご紹介します。
また、開業率についても合わせて解説するので、飲食店業界の現状を知り、今後の経営の参考にしてください。

飲食店の廃業率 ・倒産の実態

【業種別の開廃業率】

業種開業率廃業率
全産業5.1%3.3%
宿泊業、飲食サービス業17.0%5.6%
生活関連サービス業、娯楽業7.6%4.5%
金融業、保険業3.2%4.0%
小売業4.8%3.9%
電気・ガス・熱供給・水道業6.3%3.9%
情報通信業6.1%3.7%
学術研究、専門・技術サービス業5.4%3.5%
不動産業、物品賃貸業6.2%3.2%
卸売業3.1%3.1%
サービス業4.3%3.0%
建設業5.0%2.9%
製造業1.9%2.7%
鉱業、採石業、砂利採取業1.3%2.7%
教育業5.3%2.6%
医療、福祉4.0%2.3%
運輸業、郵便業 3.2%2.3%
複合サービス事業 0.9%0.9%

※出典: 中小企業庁「2022年版 小規模企業白書(HTML版)第2節 
中小企業・小規模事業者の現状 第1-1-37図「業種別の開廃業率

上記の2022年中小企業庁の調査によると、飲食業の廃業率は5.6%(宿泊業も含む)で、すべての業種の中で最も廃業率の高い業界です。一方、開業率でも飲食業は17.0%と業種別でも圧倒的に高く、これらのことから飲食業は入れ替わりが活発な業界といえるでしょう。

一般的に、飲食店の1年以内の廃業率は30%、10年以内の廃業率は90%といわれ、廃業率の高い業界とされています。その要因として、飲食店は流行の影響を大きく受け、業態もさまざまであることが挙げられるでしょう。さらに、異業種からの参入が多い業界でもあることから、比較的始めやすく、一度廃業しても別の業態で再チャレンジができる可能性もある業界といえます。

飲食店の倒産の実状

感染症流行に対して行われた各種支援策により、2020年以降の2年間で飲食店倒産は減少傾向にありました。東京商工リサーチの調査によると(※)、2022年上半期の飲食業倒産は過去20年間で最少という結果でした。

飲食店の倒産率の内訳として、東京商工リサーチの調査によると(※)2022年の倒産率が最も高かった業種は「バー、キャバレー、ナイトクラブ」で、2位が「喫茶店」、3位が「専門料理店(日本料理、中華料理、ラーメン店、焼き肉店含む)と続いています。

また、感染症流行で急激に増加した「宅配・持ち帰り」業態は、倒産が急増しています。それは、需要が増えることを見込んで参入した企業が大幅に増え、業界の競争が激化したことが要因の1つです。

※出典:東京商工リサーチ「飲食業倒産は過去20年間で最少
「宅配」、「持ち帰り」は倒産が急増 ~ 2022年「飲食業の倒産動向」調査 ~」

飲食店の廃業率が高い理由

廃業率が高いといわれる飲食店ですが、どのような要因があるのでしょうか。ここでは、飲食店の廃業率が高いといわれる5つの理由を解説します。

利益を出すのが難しい
初期投資額が大きい
運転資金が不足する
やり直しにコストがかかる
経営者の年齢が高い

利益を出すのが難しい

飲食店の利益率は10%程度と、他業種に比べ低いといわれています。人件費と原材料費のウエイトが大きい上に、環境変化が利益に大きな影響を与えやすいことも原因の1つでしょう。たとえば、ここ数年、大きな問題となった感染症の流行も飲食店に打撃を与えました。今後もエネルギー高、原材料費の高騰など、情勢をふまえた対策が必要になります。

初期投資額が大きい

テナントの契約費や店内設備、厨房機器など、飲食店を開業するためには多くの初期投資額が必要です。さらに、開店から数年は、初期投資額の回収(借金の返済)から始まります。順調に利益が出ればよいですが、初期の経営が不調な場合には、返済に追われ黒字化が難しくなる可能性も。経営者にとって初期投資額をどのように抑えるかが、開店時の課題ともいえます。

運転資金が不足する

飲食店を経営する上で、ランニングコストについても考える必要があります。ランニングコストとは、テナントとしての家賃、設備メンテナンス費、人件費、食材費などです。安定した収入がないと資金繰りが難しくなるため、開業前に綿密な事業計画を立て、実質利益と経費の計算など徹底した収支予測が必要でしょう。

やり直しにコストがかかる

飲食店は経営環境が変化し、それにあわせてリニューアルや業態変更をするには、それなりのお金と時間が必要です。経営環境が変化する中で、余剰金がないと変更に踏み切れない恐れがあります。そのため、経営が厳しいまま続けていくケースも少なくありません。いざという時のために、ある程度の経済的余力を持ってから開店することが大切です。

経営者の年齢が高い

【業種別の開廃業率】

業態60歳以上(全体)60歳以下(全体)
一般食堂 54.5%45.5%
料理店55.8%44.2%
喫茶店47.1%52.9%

厚生労働省の調査(※)によると、飲食店では経営者の高齢化が進んでいることがわかります。表のとおり、どの業態でも60歳以上の経営者の割合が約半数を占めており、今後も増加していく傾向です。
その中で、後継者が「あり」の割合は一般食堂で57.0%、料理店で63.8%、喫茶店で50.5%に留まり、高齢で後継者が不在の飲食店は廃業を意識せざるを得ない状況です。事業継承や売却の道筋は、早くから計画しておく必要があります。

※出典:厚生労働省「平成25年度生活衛生関係営業経営実態調査

飲食店の廃業率は今後どうなるか

2022年帝国データバンクの調査(※)によると、飲食店の休廃業は-11.5%で、前年比よりやや減少傾向です。さらに、経済産業省は2022年上半期の調査(※)で、活況度合い(FBI)は「緩やかに回復傾向」と発表しています。

このような回復の背景には、政府による融資等の資金繰り支援による効果が見られるといえるでしょう。ただし、全体的に見ると黒字休廃業が増えていることから、従業員への退職金や閉店資金が確保できるうちに休廃業する飲食店が多いとも考えられます。

前述の通り、感染症流行に対する各種支援策の縮小や終了がどのような影響をもたらすのかにおいても、注意が必要です。昨今のエネルギー高、原材料高によるコスト増の流れは今後も続く予想のため、今後の対応も考えておきましょう。

一方で、家庭での共働き率の増加や一人暮らし世帯の増加により、外食の需要は常にあるとも考えられます。したがって、今後も飲食店の休廃業率・開業率の高さはともに維持されると推察できるでしょう。

※出典:帝国データバンク「2022年 全国企業「休廃業・解散」動向調査
※出典:経済産業省「飲食関連産業の動向(FBI 2022年上期)調査

【廃業が決まったら】飲食店の廃業の流れ

飲食店の廃業が決まった場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。ここでは、廃業までの流れの一例をご紹介します。業種や業者によって、手続きの順序が前後するのでよく確認しましょう。

1.不動産管理会社へ契約解除の連絡(テナントの場合)
2.従業員への廃業通知(解雇通知)
3.取引先への連絡
4.税務署、警察署、保健所へ各種届出
5.リース品の返却
6.保険の解約
7.電気・ガス・水道の解約
8.備品の処分

テナントの場合には、廃業が決まり次第、まず不動産管理会社への連絡を行います。
その後、廃業の30日以上前を目安に、従業員への「廃業通知(解雇通知)」を行いましょう。解雇通知については、労働基準法で定められており、30日を切って通知すると不足の日数分の手当てを支払う義務が生じます。

その他、廃業には複数の手続きが必要です。提出物の種類と、それぞれの提出先を確認し、漏れがないように注意しましょう。また、居抜きで売却する場合などは、備品の処分が必要無い場合もあります。

廃業に関する主な提出物と提出先

提出先 提出・返却物
保健所・廃業届
・飲食店営業許可書(返納)
消防署・防火管理者解任届
警察署・廃止届出書(深夜酒類提供飲食店営業開始届出書を提出している場合)
・許可書の返納理由書
・風俗営業許可書(許可を取って営業していた場合返納)
税務署・個人事業の廃業届出書(個人事業主としての収入がなくなる場合)
・給与支払い事務所等の廃止の届出(従業員を雇用していた場合)
・所得税の青色申告の取りやめ届出書(青色申告が承認されていた場合)
・事業廃止届出書(消費税の課税事業者の場合)
公共職業安定所・雇用保険適用事業所廃止届
・雇用保険被保険者資格喪失届
・雇用保険被保険者離職証明書(雇用保険に加入している場合)
日本年金機構・雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)
・健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届(雇用保険・健康保険に加入している場合)
労働基準監督署 ・労働保険確定保険料申告書(雇用保険・労災保険のいずれかに加入している場合)

法人として手続きする場合と個人事業主として手続きする場合でも提出する書類が異なる場合もあるため、必要な手続きをよく確認しましょう。

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