譲渡と売買の違いは?必要な税金・手続きや賢く売却する方法を解説
譲渡と売買にはどのような違いがあるのでしょうか。飲食店舗を譲渡する場合に必要な税金や、手続き、譲渡・売買に関するよくある質問など、譲渡や売買にまつわる情報をまるごとご紹介します。また、飲食店を賢く譲渡できる居抜き売却についても詳しく解説するのでぜひご参考にしてください。
譲渡と売買の違い
譲渡 | 売買 |
有償・無償に関わらず 所有権を他の人に移動させること | 所有権を他の人に移動させて、 対価として代金を受け取ること |
譲渡とは、所有権を相手に移動させることです。譲渡では有償・無償は問いませんが、一般的に不動産取引では「譲渡=有償」と考えます。また、譲渡は細かく分割すると、「売買」「贈与」「交換」の3パターンがあることも知っておきましょう。
一方で売買とは、所有権を相手に移動させた代わりに対価として代金を受け取ることを意味する言葉です。売買は「売却=有償譲渡」であり、譲渡の一部にあてはまります。よって、「売買=売却」と考えられるでしょう。
譲渡・売買と「贈与」「相続」「交換」の違い
贈与 | 所有権を「無償」で他の人に譲渡すること |
相続 | 所有権を持つ人が亡くなったのちに、 その所有権を「無償」で他の人に譲渡すること |
交換 | 所有権を譲渡したのちに、金銭以外のもので対価を受け取ること |
贈与とは、無償で相手に譲渡することをいいます。贈与された側は、贈与税を負担する必要がある点に注意が必要です。
相続とは、所有権を持っていた人が亡くなってから、その所有権が別の人に移動すること。「無償譲渡」であり、贈与と意味合いは同じですが、譲渡のタイミングが異なります。相続は、遺産相続などの場面で多く使われる言葉です。
交換とは、金銭以外のもので譲渡の対価を受け取ることを意味します。
譲渡(売買)の種類について
譲渡(売買)には、譲渡する内容により上記3つの種類が存在します。それぞれの特徴と違いについて、詳しくみていきましょう。
造作譲渡
造作譲渡とは、飲食店舗の設備や内装などを次のオーナーに譲渡することです。「居抜き売却」や「店舗売却」と表現されるケースもあります。
本来店舗を閉店するときは、賃貸借契約書の記載内容に沿って「原状回復工事」を行い、物件を借りる前の状態に戻すことが基本です。飲食店舗を譲渡する側にとって、物件の原状回復工事は費用面やスケジュール面で大きな負担がかかる場合があります。
しかし、造作譲渡なら原状回復工事を行う必要がないため、譲渡時の負担を軽減できるでしょう。
造作譲渡とは?利点や平均相場・トラブルを回避する方法はこちら
飲食店のスケルトン渡しとは?原状回復との違いなど詳しくはこちら
事業譲渡
事業譲渡とは、飲食店経営に関わる事業をすべて別の人に譲渡することです。飲食店舗そのものや設備・内装などから、事業まですべてが譲渡の対象。事業の中には、ブランド力や経営ノウハウなども含まれます。
事業譲渡を行えば、後継者が見つからないが店は存続させたい、採算の取れない事業だけを整理したいなど、経営上のさまざまな問題を解決できる可能性があります。
株式譲渡
株式譲渡とは、会社の株主が持っている株式のすべてか一部のみを譲渡することです。法人化している飲食店のみが選択できる譲渡の方法で、個人事業主は実施できません。
経営者自身も株主である場合、株式を売却して発生した利益は経営者が得られます。なお、株式譲渡を行うと、債権なども自動的に移動することを覚えておきましょう。
飲食店舗の譲渡(売買)にかかる税金とは?
飲食店の店舗を譲渡すると、上記の税金が発生します。飲食店オーナーが個人事業主であるか、法人であるかによって負担する税金の種類が異なる点に注意が必要です。また、個人事業主、法人に共通して必要な税金もあります。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、個人事業主の飲食店オーナーが 店舗を有償譲渡したときの売却益に対して課せられる税金 |
譲渡所得税は、個人事業主の飲食店オーナーが、店舗を有償譲渡(=売買・売却)するときに発生する売却益に対してかかる税金です。譲渡所得税の内訳は、「所得税」「住民税」「復興所得税(※)」の3つ。最初に課税対象となる「課税譲渡所得金額」を導き出し、その金額に税率を乗じて算出して、確定申告の際に納税します。
譲渡所得は、売却代金から不動産の購入費用や売却の際に必要な金額を差し引いて算出します。具体的な計算方法や税率は、以下の通りです。「特別控除額」は各種一定の条件を満たす必要があるため、国税庁HPを確認しましょう。
【譲渡所得税の計算方法】
1.課税譲渡所得金額を 算出する | 店舗の売却益 – (店舗の取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額 |
2.税率をかけ合わせる | 課税譲渡所得金額 × 税率 |
※平成25年〜令和19年までは、基準所得税額の2.1%を「復興特別所得税」として所得税とともに申告・納付します。
譲渡所得税の税率の違い
税率の種類 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
長期譲渡所得 | 5年超え | 15.315% | 5% | 39.63% |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63% | 9% | 20.315% |
※長期譲渡所得、短期譲渡所得ともに、復興特別所得税2.1%を含む
譲渡所得税を計算する際の税率は、その飲食店舗を所有していた期間によって変わります。所有期間は、店舗を譲渡した年の1月1日現在で所有しているかどうかで判断されるため、年単位で考えるのではなく、月日までよくチェックしましょう。
たとえば、2018年4月1日〜2023年6月30日まで店舗を所有していた場合、実際は5年を超えるものの計算上は5年以下となり、税率は高くなります。
法人税
法人税とは、法人化している飲食店オーナーに支払う義務が発生する税金 |
法人税とは、飲食店を法人化している場合にかかる税金です。飲食店舗の譲渡による売却益は、その法人の「収入」とみなされるため、譲渡による売却益と営業による店舗の所得と一緒に計算されます。譲渡所得税のように、飲食店舗の譲渡による売却益に対して個別で計算するわけではない点に注意しましょう。
法人税の税率は年間の収益に応じて区分され、事業が終了してから2カ月以内に支払う必要があります。たとえば、資本金1億円以下の普通法人の場合、800万円以下の収益は15%、800万円を超える部分については23.20%の税率で計算(※)します。
【法人税の計算方法】
年間所得 × 税率 |
※令和4年4月1日以降の税率
印紙税
印紙税とは、有償譲渡など税金が発生する取引の文書に課せられる税金 |
印紙税とは、物件の有償譲渡などの課税対象である書類に対してかかる税金です。「不動産売買契約書」や「不動産売渡証書」などの書類1通につき、印紙税も1通分用意する必要があります。印紙税は、個人事業主、法人どちらも負担が必要な税金です。
文書に記載の契約金額(店舗の売却益)ごとに、かかる印紙代が異なります。区分に応じた金額の収入印紙を購入後、対象の契約書に貼付し提出することで納税が可能です。なお、平成9年4月1日〜令和6年3月31日に作成された契約書で、一定条件を満たす場合は軽減税率の対象に。対象になるかどうか国税庁のHPを確認してみましょう。
【印紙税の金額例】
売却金額 | 印紙税(収入印紙の額) | 軽減税率 |
10万以下 | 200円 | 200円 |
10万円を超え50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万を超え500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万を超え1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
出典: 国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで 」
国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置 」
飲食店舗を譲渡(売買)する流れ
1.飲食店舗の査定を依頼する 2.売却価格を決定する 3.媒介契約を締結する 4.売買契約を締結する 5.代金の支払い・店舗の引渡しを行う 6.確定申告を行う |
飲食店を譲渡する手順として、最初に行うのが店舗の査定です。査定結果に応じて売却価格が決定しますが、必ずしも査定のまま反映させる必要はなく、売り主が自由に決められます。しかし、相場とかけ離れた価格では売却は難しいため、適正な価格で決定するとよいでしょう。
売却価格が決定された後に、不動産会社との媒介契約を行い、実際に売却先が見つかれば売買契約を締結します。店舗の引渡しまで無事に完了したら確定申告を行い、個人事業主の場合は、譲渡所得税などの支払いをしましょう。
なお、居抜き売却をする場合は、貸主へ居抜き売却の許可を取ったり、造作譲渡契約を締結したりする必要もあります。
飲食店を賢く譲渡するなら「店舗買取り.com」の居抜き売却!
飲食店を譲渡する際に知っておきたいのが、居抜き売却です。メリット、デメリットを知り、賢く譲渡しましょう。
居抜き売却のメリット・デメリット
居抜き売却のメリット | 居抜き売却のデメリット |
・売却コストを抑えられる ・追加で売却益を得られる可能性がある ・閉店間際まで店舗を営業できる | ・赤字経営が長引く可能性がある ・以前の店舗のイメージを引きずりやすい ・手続き内容が専門的でやや複雑 |
居抜き売却とは、「看板を変えれば明日からでも飲食店を営業できる状態」で店舗を売却することです。居抜き売却なら、原状回復工事が必要ないため、売却コストを抑えたり閉店間際まで店舗を営業できたりするメリットがあります。また、「造作譲渡」を行えば、さらに追加で利益を得られる可能性も。
一方で、買主が見つかるまで売却できないため赤字経営が長引いたり、手続きが複雑で混乱してしまったりする可能性もゼロではありません。居抜き売却を検討する場合は、居抜き売却に特化した専門業者に相談するのがおすすめです。買主の募集や売却価格の見積もり、原状回復工事の貸主への承諾の取り付けなど、さまざまな作業を代行してもらえます。
飲食店の居抜き売却とは?メリットや実際に売却する流れはこちら
店舗買取り.comは売却手数料0円で利用可能
【店舗買取り.comがおすすめの理由】 ・業界初「売却手数料0円」で利用できる ・テナント貸主と直接交渉して負担を軽減できる ・オーナー様の希望に合わせた売却先を見つけてくれる |
「店舗買取り.com」は、飲食店の閉店費用を抑えたいオーナー様の強い味方です。豊富な飲食店舗の居抜き買取り実績がありますので、安心してお任せください。また、売却手数料0円で利用できる点も大きなメリットです。
通常、店舗閉店時には原状回復工事が必要ですが、「店舗買取り.com」なら、これらを免除できます。「原状回復義務」など、閉店時に必要な申請や手続きをテナント貸主と直接やりとりして交渉。「造作譲渡契約書」の作成や、造作の買取りも実施していますので、閉店コストを軽減したいオーナー様はぜひご検討ください。
さらに、出店希望者80,000人超えの「居抜き店舗.com」も運営しているため、理想的な売却先を見つけるお手伝いもします。
飲食店舗の譲渡・売買に関するQ&A
飲食店舗を譲渡、売買する際によくある質問についてお答えします。
Q.飲食店舗の譲渡で税金以外にかかる費用は?
A.設備・内装の処分費用や仲介手数料などです。 |
【譲渡する際に必要な税金以外の主な費用】
・仲介手数料 ・司法書士費用 ・設備・内装の処分費用 など |
飲食店舗内の設備や内装を不用品として処分する場合は、処分費用が必要です。司法書士に依頼する場合は、その費用も発生するでしょう。売却の際に仲介業者に依頼すると、基本的に仲介手数料がかかりますが、「店舗買取り.com」では売却手数料0円で利用できます。
Q.飲食店を閉店する際に必要な手続きは?
A.閉店告知や行政への届出が必要です。 |
これまで付き合いのあった、取引先や顧客に対して閉店の告知をしましょう。また、行政への廃業届など各種届出・書類の申請や、青色申告を行っている場合には、その取りやめ届出などの手続きが必要です。電気、ガス、水道などライフラインの契約の解除も忘れずに行いましょう。
飲食店の撤退に必要な手続きは?費用や負担を軽減する方法はこちら
Q.飲食店舗の譲渡で気をつけることは?
A.譲渡内容を明確にしましょう。 |
譲渡の際は、内容を明確にすることが重要です。とくに居抜き売却や造作譲渡を行う場合、売主と買主の認識にズレが生じないよう、契約書にリストを添付しましょう。
造作譲渡の対象とならないリース物件などは、明確に分けて対応する必要があります。その他の譲渡であっても、トラブルを回避するために必ず契約書を作成しましょう。
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飲食店の譲渡や売買について知り、店舗譲渡を成功させましょう
譲渡と売買の違いや、飲食店舗での譲渡の種類などについて紹介しました。飲食店の譲渡では、個人事業主と法人で異なる税金が発生します。具体的にどのような税金がかかるか知っておき、賢く譲渡しましょう。
また、飲食店舗を閉店・譲渡する際には、さまざまな作業も発生します。とくに原状回復工事は費用が大きくかかるため、負担となる可能性があるでしょう。「居抜き売却」も検討して、費用負担の軽減を図ることがおすすめです。
「店舗買取り.com」は、飲食店舗の売却・撤退・閉店などを一貫してサポートします。居抜き売却や造作譲渡など、煩雑な作業が必要なケースでも安心です。業界初の「売却手数料0円」で、飲食店経営者様のお悩みに寄り添います。コストをできる限り抑えて、早期に店舗を売却したいオーナー様はぜひお気軽にご相談ください。
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