飲食店の譲渡・売却とは?経営権、物件の譲渡、流れや成功のポイントも解説

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「飲食店の譲渡を検討しているが、何から手をつければいいのかいいのかわからない」とお悩みの方もいるでしょう。飲食店を譲渡・売却する方法は、経営権・物件・機器などの対象や範囲によって異なります。譲渡の価格を高めるためには、売却・譲渡の種類や特徴を理解することが大切です。今回は、飲食店を売却・譲渡する方法や流れ、ちょっとした成功のポイントを解説します。

飲食店の譲渡と売却の違い

飲食店の譲渡と売却には、基本的に大きな違いがありません。一般的に金銭のやり取りが発生する譲渡と売却ですが、厳密にいえば「譲渡」は無償での場合も含まれます。また、譲渡と売却は、対象のものが異なることもあります。飲食店の譲渡には、居抜き売買とも呼ばれる造作譲渡、事業譲渡や株式譲渡など、いくつかの種類があります。譲渡・売却の種類によって契約内容やメリット・デメリットが異なるため、種類ごとの基本的な内容を押さえておくことが大切です。

飲食店の譲渡・売却に至る背景とは?

飲食店が譲渡・売却に至る背景には、様々な事情があります。例えば以下のようなものが考えられます。

・運転資金が尽きる
・体調不良などで営業ができない
・店舗を移転する
など

来客数の減少、思うように売上が伸びないような事態が続けば、飲食店は赤字に陥ります。さらに、資金操りがうまくいかず黒字に戻ることがなければ、運転資金は減少する一方です。閉店を決意して、飲食店の譲渡や売却を考える必要性も出てきます。

飲食店を再建するため、立地が良く来客の見込みがある場所へ移動する場合には、資金が必要です。複数の店舗を抱えている会社の場合、一部の店舗を売却して資金を得ることで、他店舗の再建に役立てられるでしょう。
個人で経営する飲食店などの場合は、経営者の体調不良によって、黒字であっても飲食店の売却・譲渡が行われることがあります。

飲食店譲渡の種類と特徴

飲食店の売却・譲渡には主に3種類があり、それぞれ特徴が異なります。1つずつ詳しく解説していきます。

造作譲渡(居抜き売却)
事業譲渡
株式譲渡

造作譲渡(居抜き売却)

造作譲渡は店舗の内装、装備をそのままの状態で売却・譲渡することです。家具や設備をそのままにして売却することから、「居抜き売却」や「店舗売却」と呼ばれることもあります。

床やドアなどの内装の建築部分に加え、厨房器具やカウンター、テーブルなどの設備も譲渡の対象です。事業が継続した状態で譲渡する他の方法と異なり、造作譲渡ではすでに廃業・倒産した物件を売却します。事業の譲渡が含まれないため、手軽で手間も小さく抑えられる造作譲渡ですが、立地によって価格が大きく異なる特徴があります。

事業譲渡

事業譲渡とは、事業の一部あるいは全部を譲渡することです。譲渡する範囲は名称によって「一部譲渡」「全部譲渡」と異なります。過去には、「営業権譲渡」と呼ばれていたこともありました。事業を譲渡する際には債権・債務や経営権、各種契約が引き継がれるわけではなく、引き継がれるのは事業用資産のみです。事業用資産には飲食店のスタッフや店舗、厨房器具だけでなく、経営ノウハウも含まれます。事業譲渡は株式の譲渡が不要であるため、個人店でも行えます。

株式譲渡

株式譲渡は、株式の一部あるいは全部を売却することです。株式を発行していない個人店は、利用できません。「会社譲渡」とも呼ばれる株式譲渡は、基本的に法人企業で採用される選択肢のひとつです。株式譲渡は事業譲渡と異なり経営権だけでなく、会社の債権・債務も自動的に引き継がれます。会社の資産すべてを譲渡することになるため、株式譲渡は他の譲渡方法に比べると高い売却益が見込みやすい方法です。

飲食店譲渡のメリットと注意点

飲食店の譲渡は、種類によってメリットや注意点が異なります。トラブルを防止しつつ、少しでも高い価格で譲渡するためにも、各譲渡方法のメリットと注意点を確認しましょう。

造作譲渡のメリットと注意点

メリット・譲渡・売却益を得ながらスムーズに譲渡できる
・閉店にかかるコストを削減できる
注意点・貸主・管理会社の許可が必要
・リース品の契約状況等も確認する
・立地や内装・設備の状況によっては成約が難しい場合がある

造作譲渡はスムーズな取引が実現しやすい譲渡方法です。原状回復工事も不要であるため、閉店に必要なコストも小さく抑えられます。
ただし、貸主・管理会社の許可やリース品の契約状況の確認など、手間が発生する点は知っておきましょう。また、立地や内装・設備の状態が悪いと、買い手がつきにくく空家賃期間が長くなってしまう可能性も考えられます。
一方、立地や条件が良ければ空家賃期間を短く抑えられる場合もあり、譲渡する物件の内装や立地に大きく左右されることが多い方法です。

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事業譲渡のメリットと注意点

メリット・会社を継続させながら一部事業の譲渡ができる
・将来の営業利益を加算して事業価値が算出される
注意点・譲渡の手続きに手間がかかる
・買い手(譲渡された側)は許認可を取り直す必要がある

事業譲渡は将来の営業利益を加算して事業価値が算出されるため、大きな譲渡益が見込めます。すべてを譲渡するのではなく、一部の譲渡を選択できる点も魅力です。複数の店舗を経営している場合は、1店舗のみを売却・譲渡することも可能。手続きは煩雑で手間がかかりますが、負債の引継ぎがないため成約できる可能性も高いでしょう。ただし、譲渡された側の個人や法人に、負担がかかってしまうデメリットがあります。

株式譲渡のメリットと注意点

メリット・社名、店名を残したまま譲渡できる
・株式をすべて売却する場合は、事業譲渡よりも売却益は高くなる
注意点・負債もまとめて譲渡することになるため、成約が難しい場合がある

社名、店名を残したまま譲渡できる株式譲渡は、株式会社の形を取る法人にとってはメリットの多い方法です。株式譲渡は事業譲渡と比較すると手続きが容易で、会社を存続されることも可能です。株式をすべて売却・譲渡する場合は、事業譲渡よりも高い売却益が見込めるでしょう。
一方で、負債を含むすべての資産を譲渡することになるため、債券・債務が多いと制約が難しいこともあります。

飲食店譲渡の相場・計算方法

飲食店譲渡の相場は、譲渡の方法によって異なります。ここからは造作譲渡・事業譲渡・株式譲渡、それぞれの相場を見ていきましょう。

造作譲渡(居抜き売却)

相場東京で100~300万円程度(物件、設備、立地などによって変動)

造作譲渡の相場は東京で100~300万円程度ですが、業態の規模、物件、設備、立地などによって大きく異なります。設備の故障や物件の劣化等は値引きの要素になるため、注意が必要です。

事業譲渡

事業譲渡の価格を決める際には、まず企業価値(事業価値)の算定が必要です。企業価値(事業価値)の算定方法はベースによって以下3つの方法に分けられます。

・コストアプローチ:資産と負債から算出し、純資産額を基本とする
・インカムアプローチ:3年程度の事業計画から想定される将来の収益力を掛け合わせる
・マーケットアプローチ:マーケット(市場)で成立する価値を基準とする

コストアプローチは事業譲渡の相場を簡易的に算定する方法です。以下の計算を使用して、ある程度の金額を把握できます。

・対象事業の純資産額+のれん代(対象事業の営業利益×2~5年)

基本的に事業譲渡は売り手(譲渡する側)と買い手(譲渡される側)の交渉で決めることが可能。事業の内容や需要、財政や規模などにより価格は変動します。

株式譲渡

株式譲渡も事業譲渡と同様に、基本的には売り手(譲渡する側)と買い手(譲渡される側)の交渉で決められます。客観的な価値の評価方法にはいくつかの算出の仕方があることを覚えておきましょう。

・DCF法:インカムアプローチのひとつ
・マルチプル法(類似業種比準法):マーケットアプローチのひとつ
・修正簿価純資産法(時価純資産法):コストアプローチのひとつ

交渉が必要な株式譲渡は、売り手と買い手の関係性によって、その金額に注意する必要があります。

・第三者との取引:売り手・買い手で自由に交渉可能
・親族・グループ会社との取引:専門家の査定もしくは税務上の時価で金額を算出

親族・グループ会社での取引の場合、金額によっては税務署に「贈与」や「寄附」、「相続税逃れ」などとみなされることもあります。不安な場合は専門家に査定をしてもらうか、国税庁のルールの範囲内で「税務上の時価」を使用して相場を決めることも可能です。

飲食店の造作譲渡(居抜き売却)の流れ

飲食店の造作譲渡は、一般的に8つのステップで行われます。イメージをつかむためにも、譲渡を検討している場合は目を通しておきましょう。

1.契約書の確認
2.業者や専門家へ相談
3.貸主・管理会社の承諾
4.専門家による現地視察
5.専門家を介し、買取希望者を募集
6.専門家を介し、条件交渉
7.造作譲渡契約の締結
8.物件の引き渡し

1.契約書の確認

まずは店舗の譲渡や売却が可能なのか、契約書で確認します。特に、貸主への解約予告、原状回復の義務の確認は大切です。

2.業者や専門家へ相談

貸主への交渉が必要な場合や手続きが煩雑で手に負えない場合などは、専門家に相談すると安心です。紹介する以降の手順においても専門家の介入が一般的なため、早い段階で業者・専門家選びを行うと良いでしょう。

3.貸主・管理会社の承諾

貸主・管理会社に連絡を取り、承認を得ます。造作譲渡の場合は、貸主・管理会社の承諾が必須です。承諾がなければ、手続きを進めることはできません。

4.専門家による現地視察

譲渡の手続きを進めるため、専門家による現地の視察や査定が行われます。視察や査定には物件だけでなく、厨房機器や設備など譲渡・売却するすべての設備が含まれることがポイントです。

5.専門家を介し、買取希望者を募集

買取希望者の募集は、専門家を介して様々なルートで行われます。

6.専門家を介し、条件交渉

買取を希望する個人や法人が見つかったら、専門家と買取希望者が物件を内見。内見が終われば、専門家を介して条件交渉を行います。

7.造作譲渡契約の締結

交渉後、買い手が決定すれば、造作譲渡契約を締結します。

8.物件の引き渡し

物件を引き渡す際には、貸主・管理会社と買い手(譲渡される側)が賃貸借契約書を締結。また、貸主・管理会社と売り手(譲渡する側)は賃貸借契約書を解約します。

飲食店の譲渡を成功させるためのポイント

ここでは、飲食店の譲渡を成功させるためのポイントを4つ紹介します。トラブルを防ぐためにも、必ず確認しておきましょう。

譲渡の目的を明確にしたうえで取引を進める
貸主の承諾・リース契約などを確認しトラブルを防ぐ
内装、設備の状態を確認し事前の対応も考慮
飲食店譲渡・売却の専門家へ相談する

譲渡の目的を明確にしたうえで取引を進める

飲食店の売却・譲渡の方法を決めるためにも、まずは譲渡の目的を明確にすることが必要です。先述した通り、造作譲渡・事業譲渡・株式譲渡とそれぞれで対象や範囲が異なります。売却・譲渡の対象や範囲を明確にすることで、優先すべき行動が決まるでしょう。一部の事業を切り離して経営を継続するのか、物件そのものを譲渡するのか、満足・納得できる譲渡を実現するためにもまずは目的を明確にします。

貸主の承諾・リース契約などを確認しトラブルを防ぐ

飲食店の売却・譲渡を行う際には、店舗の貸主の承諾とリースの契約の確認が必須です。賃貸契約では、解約予告期間と原状回復義務の内容を賃貸借契約書にてチェックを行いましょう。設備・機器などのリース物品とその期限の確認も欠かせません。
貸主・買い手とのトラブルを防ぐためにも、契約内容の確認や情報共有などは確実に行うことが大切です。

内装、設備の状態を確認し事前の対応も考慮

トラブルや契約不成立を防ぐためにも、飲食店の売却・譲渡の前には内装・設備の状態確認を行いましょう。厨房設備や空調が壊れていたり汚れていたりなど状態が悪い場合、譲渡価格が下がってしまうことも考えられます。譲渡価格を下げないためには、日ごろから設備の点検や修理を欠かさないことが大切です。内装・設備の状態確認を行う際には、水回りや害虫などのチェックもあわせて実施しましょう。

飲食店譲渡・売却の専門家へ相談する

飲食店の譲渡・売却について相談したいと思っても、どこに相談すればいいかわからないという方も多いはずです。譲渡を考える場合は専門家へ相談するのがおすすめです。専門家に相談すれば、買い手の募集や交渉、価格や譲渡のタイミングなど、専門的な立場からアドバイスを受けられます。その結果、飲食店のスムーズな譲渡・売却につながります。

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飲食店の売却・譲渡は専門家に相談を!

飲食店の売却・譲渡には、造作譲渡・事業譲渡・株式譲渡の3種類があり、それぞれ特徴や相場が異なります。メリット・デメリットも譲渡の方法によって変わり判断が難しいため、トラブル防止のためにも専門家に相談するのがおすすめです。

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