厨房設備の耐用年数は8年って本当?減価償却や買い替えのタイミングも 解説

飲食店の要である厨房設備には、「耐用年数」という会計上のルールがあります。厨房設備の耐用年数を知ることは、飲食店の営業や上手な経営に欠かせません。今回は、厨房設備等の耐用年数について解説します。国税庁が定める厨房設備の種類別の耐用年数や減価償却、おすすめの買い替えのタイミングについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
【2026年(令和8年)最新の税制改正に関する重要なお知らせ】
2026年4月1日より、「少額減価償却資産の特例」の上限額が従来の30万円未満から『40万円未満』へ引き上げられました。 これにより、これまで数年に分けて減価償却する必要があった30万円台の業務用冷蔵庫やスチームコンベクションオーブンなどの高額厨房機器も、購入したその年に「一括で全額経費(即時償却)として落とせるようになっています。(※青色申告の中小企業者等の要件あり、年間合計300万円まで) 資金繰りに余裕を持たせたい飲食店オーナーにとって、この40万円への引き上げは初期のキャッシュフローを安定させる非常に大きな節税メリットとなります。
そもそも耐用年数とは?
| 耐用年数とは、厨房設備や家電、家具など「資産の価値」が保たれる期間です。 |
耐用年数とは、飲食店で使用する厨房設備や家具、家電などの資産を使用できる期間です。
国税庁では、事業に必要な設備や機器、備品など一部の資産は、年月が経つほど価値が下がると定めています。このように、一定期間のみ本来の価値が維持される資産を「減価償却資産」と呼びます。
耐用年数は、減価償却資産の「減価償却」が可能な期間です。国税庁のサイトでは、設備ごとの耐用年数が公開されており、誰でも簡単に詳細を確認できます。
耐用年数と耐久年数の違い
| 耐用年数 | 設備や機器など対象の資産を使用できる期間 法律で決められている |
| 耐久年数 | 設備や機器を問題なく使用できる期間 メーカーなどが独自に決めている |
耐用年数と似た言葉に、耐久年数があります。耐久年数は、設備や機器についてメーカーなどが基準を設け、「問題なく使用できる」と定めた期間です。耐用年数は前述の通り、厨房設備や建物などの資産を使用できる期間として、法律で定められています。
設備や機器の耐久年数はあくまでも目安です。耐用年数は設備ごとに法的に年数が定められています。
国税庁が定めている厨房設備の耐用年数

| 厨房機器の名称 | 耐用年数 |
| 陳列だな、陳列ケース(冷凍機付・冷蔵機付のもの) | 6年 |
| 冷房用・暖房用機器 | 6年 |
| 電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気・ガス機器 | 6年 |
| 氷冷蔵庫、冷蔵ストッカー(電気式のものを除く。) | 4年 |
| 食事・ちゅう房用品(陶磁器製・ガラス製のもの) | 2年 |
国税庁では、厨房設備の種類ごとに「法定耐用年数」を定めています。たとえば、陳列だなや陳列ケース、電気冷蔵庫は6年、陶磁器製・ガラス製の厨房用品は2年です。
設備や製品により耐用年数が異なるため、自店の備品や設備がどれにあてはまるか、正しく把握しておきましょう。
中古の厨房機器を購入した場合の耐用年数の考え方
昨今の原材料高騰や円安の影響で新品の厨房機器の価格が上昇しているため、あえて中古品を導入して初期費用を抑える飲食店が増えています。中古機器の最大のメリットは、購入価格が安いことだけでなく、新品よりも短い期間で減価償却できる(=早く経費化して節税できる)点にあります。中古品の耐用年数は、原則として以下の「簡便法」という計算式で求めます。
法定耐用年数をすべて経過している場合
法定耐用年数 × 20%
法定耐用年数の一部を経過している場合
(法定耐用年数 - 経過した年数) + 経過した年数 × 20%
※計算結果の1年未満の端数は切り捨て、最短は2年となります。
【計算例:法定耐用年数8年の厨房機器で、4年落ちの中古品を買った場合】
(8年 - 4年) + (4年 × 20%) = 4.8年
端数を切り捨てるため、「4年」で償却することになります。新品なら8年かかるところを半分の期間で経費にできるため、手元にキャッシュを残しやすくなります。
厨房設備の耐用年数が過ぎていたら?
厨房機器の耐用年数が過ぎても、設備がすぐに故障したり使えなくなったりするわけではありません。耐用年数は耐久年数とは異なり、「減価償却」の処理に関わる期間であるためです。
耐用年数が過ぎると、会計上その設備の資産価値は0になってしまいます。よって、耐用年数を目安に厨房機器の買い替えを行えば、減価償却による節税を目指せるでしょう。減価償却の仕組みについては、次の章で詳しく解説します。
なお、耐用年数が過ぎると、徐々に故障の可能性が高くなりやすいのも事実。耐用年数を目処に厨房設備の買い替えを行い、営業中のトラブルを防ぐといった考え方も重要です。
厨房設備の減価償却とは?

減価償却とは、厨房設備などの取得費用を、その資産の耐用年数に則って少額ずつ経費に計上する会計ルールです。
たとえば、飲食店の電気冷蔵庫を50万円で購入した場合、減価償却のルールが適用されるため、この費用を一括で経費に計上はできません。法定耐用年数である「6年」で分割し、経費に計上する必要があります。
減価償却の対象となるものは、主に経年劣化を伴う高額な資産です。飲食店であれば、厨房機器や調理器具がこれにあたります。
なお、高額でも経年劣化しないものは減価償却の対象外です。決算の際は店の資産として計上するか、売却を行います。
| 対象となる資産 | 対象外となる資産 |
| ・冷蔵庫 ・冷房機器 ・調理器具 など | ・借地権 ・絵画 ・骨董品 など |
減価償却のメリット
減価償却は、会計上では厨房設備などの費用を支払った形式として残りますが、実際に手元から出ていく資産はありません。最初の年に出費はあるものの、2年目以降は帳簿上でのみの支出であるため、記載した分の金額を飲食店の資産として残せます。
耐用年数に応じて経費計上することで、課税対象となる利益が減り、節税効果を得られるでしょう。また、減価償却は、保有している資産の評価にも使用できます。
減価償却の計算方法
| 定額法 | 減価償却費=取得価額×定額法の償却率 |
| 定率法 | ①減価償却費=未償却残高×定率法の償却率 ②改定取得価額×改定焼却率※ |
※減価償却費は、「定額法」と「定率法」の2つの方法で計算できます。
定額法は、資産の取得にかかった費用を耐用年数で均等に分割し、毎年同じ金額を経費として計上する計算方法です。一方、定率法は、年度ごとに負担率を変え経費計上をする方法。初年度の負担額がもっとも高く、その後は年数を追うごとに低くなっていきます。
ソフトウェアや特許権など無形固定資産や建物などは、定額法での算出するルールがありますが、その他は自由に選択可能です。営業状況に合わせて、減価償却を行いましょう。
厨房設備を買い替えするタイミング

厨房設備は、耐用年数を経過したとき以外に、設備の故障や事業の節目などで買い替えるのがおすすめです。ここでは、厨房設備を買い替えるおすすめのタイミングをご紹介します。
目安の耐用年数を経過したとき
「耐用年数=故障する年数」ではありませんが、買い替えの目安として把握しておくとよいでしょう。
一般的な飲食店で使用する厨房設備の耐用年数は、6〜8年ほどのものが多くあります。厨房設備を買い替える際、耐用年数が大幅に過ぎた古い設備は、売却価値が出ないケースも。売却益が出ず処分しなければならない場合、別途処分費用も必要です。
厨房設備を効率よく買い替えるためにも、耐用年数を目安のひとつにしましょう。
厨房設備が故障したとき
厨房設備の故障も買い替えの目安です。製造から時間が経過した設備の場合、修理を依頼しても交換できる部品がなく、断られるケースがあります。大幅な修理が必要な場合、営業を止めなければならない可能性も。
飲食店の営業に支障をきたさないためにも、メーカーに故障時の対応がいつまでできるのかなど、確認をしておくことが重要です。
また、厨房設備が故障に至る前の前兆がある場合は、早めに買い替えを検討しましょう。たとえば、冷蔵庫が冷えにくい、オーブンの電源が入りにくいなどです。
【修理か?買い替えか?税務上の注意点】
厨房機器が故障した際、「修理して使い続けるか、新品に買い替えるか」は大きな悩みの種です。このとき、税務上の判断基準として知っておきたいのが「修繕費」と「資本的支出」の違いです。
修繕費として「その年の経費」で全額落とせるケース
原状回復(元通りに動くようにするだけ)のための修理や、一つの修理費用が20万円未満の少額なものは「修繕費」として一括で経費計上できます。
「高額な修理代を払ったのに、今年の経費で全額落とせなかった」という事態を防ぐためにも、修理見積もりが出た段階で、それが経費になるのか資産計上になるのかを確認しましょう。状況によっては、思い切って「40万円未満」の最新機器に買い替え、前述の一括償却の特例を活用した方が、長期的なコストパフォーマンスと節税効果が高くなるケースも少なくありません。
- 資本的支出として「資産」になり減価償却が必要なケース
部品を最新型に交換して「購入時よりも性能がアップした」、または「通常の寿命が延びた」とみなされる修理で、かつ費用が少額でない場合は、新たな資産(資本的支出)として耐用年数にわたって減価償却する必要があります。
事業の拡大・変更を検討しているとき
飲食店を新規出店したり事業内容を変更したりする際も、厨房設備の買い替えにおすすめのタイミングです。店舗のサイズや業務内容に合っていない厨房設備では、操作性が悪くオペレーションの悪化につながります。効率よく業務を行い、顧客を増やすためにも買い替えがおすすめです。
また、居酒屋からカフェに転身するなどのケースでも、既存の厨房設備を使い回すのには限度があります。新しい事業に適した厨房設備を導入しましょう。
厨房設備の耐用年数を知り、上手な節税を目指そう
厨房設備の耐用年数とは、その設備の価値が保たれる期間です。耐用年数は、厨房設備や備品の種類ごとに定められています。
耐用年数が過ぎても、すぐにそれらの設備が使えなくなるわけではありません。しかし、耐用年数を目安にタイミングをみて、新しい厨房設備に買い替えることで、減価償却による節税効果が見込めるでしょう。
厨房設備以外に建物や内装が老朽化している場合は、新店舗に移転を考えるのも集客の面で効果的です。飲食店舗の移転を行う際は、「居抜き売却」がおすすめ。既存の店舗を単に閉店するのと比べて撤退費用を抑えやすく、設備や内装の売却益が入る可能性もあります。
コストをできる限り抑えて居抜き売却をしたい飲食店オーナー様は、ぜひ「店舗買取り.com」へご相談ください。
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