飲食店が人手不足に陥る5つの理由は?対策や閉店後の売却について解説

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飲食店経営者の悩み事のひとつとしてよく挙げられる人手不足。飲食店はなぜ人手不足に陥りやすいといわれるのでしょうか。ここでは、データに基づく原因や、人手不足のままで経営するリスクなどについてご紹介します。あわせて、飲食店の人手不足を解消するための対策についても解説するため、飲食店に携わる方はご参考にしてください。

飲食店の人手不足の現状

飲食店の人手不足の割合は、正社員で61.3 %、非正社員で85.2%とされている
参考:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023 年 4 月)

感染症による外出の抑制が緩和されている中、飲食店の深刻な人手不足が課題となっています。正社員の人手不足割合は上位10業種の中に位置し、非正社員の人手不足割合では、「飲食店」が全業種中で唯一の8割台となっているのが現状です。飲食店は非正社員の占める割合も多いため、より人手不足が深刻化しているといえるでしょう。

さらに、厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者) 」では飲食業界は離職率も高い傾向にあります。就職から3年以内の離職率は、高卒・大卒ともに「宿泊業・飲食サービス業」がトップで、内訳は、新規高卒者が60.6%、新規大学卒業者が49.7%です。新規学卒者の離職率の高さも飲食店の人手不足に拍車をかける原因のひとつといえるでしょう。

【なぜ?】飲食店が人手不足に陥る原因

感染症の影響
労働時間や拘束時間の長さ
収入の低さ
外国人留学生の入国者数の減少
マイナスイメージの定着

飲食店が人手不足に陥る原因には、感染症の影響を始め、労働時間や収入の低さなども挙げられます。それぞれの原因について詳しくみてみましょう。

感染症の影響

感染症の影響により、多くの飲食店が倒産しました。帝国データバンクのデータからも、感染症関連倒産で最も多いのが飲食店ということがわかります。

それまで飲食店で働いていた人も、別の業界に転職したケースが多くみられます。新たな仕事に慣れてから、飲食業界に再度戻ろうと思う人は少ないでしょう。

さらに、感染症の影響が落ち着いても、「また倒産して職を失ってしまうのでは」と考え、飲食業界に戻る人が少なくなっている可能性も考えられます。

参考:帝国データバンク「「新型コロナウイルス関連倒産」動向調査

労働時間や拘束時間の長さ

厚生労働省の調査「令和4年就労条件総合調査の概況 」では、週の所定労働時間がもっとも長かったのは「宿泊業,飲食サービス業」でした。

また、厚生労働省の「外食産業における労働時間と働き方に関する調査 」では、正社員のうち今の仕事を続けたいと「思わない」と回答したのは 385 件。その理由としてもっとも多いのが、「労働時間・拘束時間が長い」で、 54.5%を占めていました。

このことから、飲食店の過酷な労働環境が、人手不足を招いている可能性もあるでしょう。

収入の低さ

厚生労働省「外食産業における労働時間と働き方に関する調査 」によると、非正規雇用者のうち、今の仕事を今後続けたいと「思わない」と回答したのは 155 件で、その理由でもっとも多いのが、「収入が低いため」で、45.8%を占めていました。

短時間労働者の1時間当たりの賃金は「宿泊業,飲食サービス業」が1,105円と男女ともに最も少ないことが厚生労働省の調査(※1)からわかります。非正規雇用者にとって、とくに収入の低さから飲食店での勤務が敬遠されていると考えられるでしょう。

※1参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概況

外国人留学生の入国者数の減少

感染症の水際対策により、新規入国者が制限され、外国人留学生の入国者数は7年前の水準まで低下しました。文部科学省の「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について 」によると、2022年10月末時点で在留資格「留学」で働く外国人は258,636人と、ピーク時の2019年から約6万人減少しています。

近年、外国人留学生が飲食店で働くケースも多かったことから、入国者が激減したことも、飲食店の人手不足に拍車をかけたといえるでしょう。

マイナスイメージの定着

飲食業界は、「労働条件が厳しい」「賃金が低い」「人間関係やお客様間のトラブルがある」などのネガティブなイメージを持たれやすいことも多くあります。このようなイメージから、そもそも飲食業に就く人自体が少なくなっている可能性も考えられるでしょう。

また、飲食業界は、一般的に非正規雇用の従業員が多いことも原因の1つとして考えられます。長期間の勤務は考えず、学生の間だけなど期間を区切って働く人が多いと人の入れ替わりが激しくなり、定着率の減少にもつながりやすくなるでしょう。定着率の減少は、長期間の従事を考えている人からすると懸念されるポイントのため、間接的に人手不足にも影響します。

飲食店の人手不足を解消するには?対策5選はこちら

人手不足によって飲食店に起こりうるリスク

廃業や倒産のリスクが高くなる
接客の質が低下する
オーナーが体を壊す可能性がある

人手不足となると、経営するうえでさまざまなリスクが起こる可能性があります。ここでは、人手不足が飲食店にもたらす3つのリスクをみてみましょう。

廃業や倒産のリスクが高くなる

現状、飲食店は廃業率が高い産業といわれる傾向にあります。実際、2022年に実施された中小企業庁の「中小企業・小規模事業者の現状 」によると、飲食業の廃業率は5.6%(宿泊業も含む)で、すべての業種の中で最も廃業率が高いという結果でした。

その中で、人手不足という課題が発生することで店をまわすことができなくなり、最終的に廃業や倒産をせざるを得ない状況になりやすいです。

接客の質が低下する

人手不足に陥ると、スタッフ一人ひとりの負担が増えます。たとえば、時間帯によっては、1人で店をまわす「ワンオペ」を行う状況になることも。1人ですべてをこなすことに意識が集中することで、接客がおろそかになってしまう場合もあります。最悪の場合、接客に満足のいかなかったお客様からのクレームや悪い口コミにつながってしまいやすいでしょう。

オーナーが体を壊す可能性がある

人手不足となり、従業員が確保できない場合には、最終的にオーナーの負担が増えます。通常であれば休める日や時間帯であっても、人手不足を補うためにオーナー自らが働かなければならず、体力的にも精神的にも体を壊してしまう恐れがあるでしょう。
オーナーが体を壊してしまうと、飲食店の営業ができなくなり、売上の大幅な減少が見込まれます。

飲食店の人手不足対策5選

労働条件を見直す
待遇を改善する
職場の問題を解決する
IT化・DX化を図る
外国人やシニア層を積極的に採用する

安定した飲食店経営を実施するうえで、人手不足は無視できない課題です。ここでは、飲食店の人手不足を対策するための5つのポイントについてご紹介します。

労働条件を見直す

思い切って、労働時間を「1日1時間から」や「土日のみ」といった条件にしてみましょう。働き方改革の影響もあり、最近ではワークライフバランスを重視する人が増えています。とくに20代、30代はその傾向が強いため、採用する側の意識も変えていく必要があるでしょう。

時間帯や曜日などの制限を少なくすることで、限られた働き方を求める層の応募の増加も見込めます。また、他店舗との差別化も図ることができるでしょう。

待遇を改善する

正規・非正規関係なく、従業員に対して業務量に見合った給料と待遇を再評価するようにしましょう。飲食店で働く非正規雇用者の多くが、収入の少なさを感じているため、正当な評価ができているかの見直しも場合に応じては必要です。

また、給料が上げられない場合には、まかないの提供や福利厚生の充実に取り組むことも効果的といえます。従業員の満足度を高めることができれば、モチベーションも上がり、定着率も安定するでしょう。さらに、求人の応募数の増加も期待できます。

職場の問題を解決する

人間関係のトラブルがある場合は、早急に解決方法を探りましょう。トラブルの多い職場で働きたいと思う人はいません。とくに少人数で働いている場合には、人間関係が致命傷となることもあります。

定期的にスタッフと面談をして職場環境についてヒアリングしたり、普段からお店の様子やスタッフ同士のやり取りを観察したりすることも大切です。あわせて、シフトが不公平になっていないか、キッチンとホールが円滑に回っているかなどもチェックしましょう。

IT化・DX化を図る

人材確保はもちろん重要ですが、セルフレジ、セルフオーダー、ロボットによる配膳など、非接触や自動化が可能なシステムを導入することも検討してみましょう。
これらは導入費こそかかるものの、業務効率化を図ることができ、職場環境の改善に役立つ可能性があります。余裕を持って従業員が働ける環境づくりをすれば、定着率も上がり、人手不足で悩むことは減るでしょう。

他にも、モバイルオーダーシステムの導入や勤怠管理システムを導入することで、あらゆる業務の一括管理ができ、作業の効率化につなげられます。

外国人やシニア層を積極的に採用する

日本で活躍したい、成長したいと考える在留外国人は多くいます。採用を積極的に進めれば、活躍が期待できるでしょう。
シニア層の採用もポイントになりますが、できることが限られる点に注意が必要です。仕込みのみ」「店内整理・清掃のみ」など業務を限定することで、人材不足を解消できる可能性があるでしょう。

飲食店の人手不足を解消できない場合は売却も視野に

ご紹介してきた対策をとっても、人材不足が解決できない場合には、飲食店を売却するという方法もあります。廃業に追い込まれると手元に何も残らない場合も考えられる一方で、売却に成功するとまとまった売却益を手に入れられる可能性があります。

愛着のある飲食店を手放すことに抵抗がある人もいるかもしれませんが、いったん売却し、手に入れた売却益を活用して新しい場所でリスタートするという方法も。終わらせることだけではなく、先に続くことを視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。

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人手不足を解消して飲食店を成功させましょう

全業界の中でも、飲食店は倒産件数が高く、賃金も少ないということで敬遠されやすい傾向にあります。感染症の影響で、それまで飲食店で働いていた人が離職し、戻ってこないことも大きな原因のひとつでしょう。

今回ご紹介した対策を参考にし、人手不足に悩まないように飲食店を経営していきましょう。もし対策しても求人応募が増えない、今いる従業員の定着率が悪いなど解決できない場合には、一度売却し、リスタートする方法もあります。先を見据えたうえで、負担になりにくい方法を選びましょう。

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