飲食店が自己破産する前にできることとは?負債整理と店舗売却を解説

「このまま経営を続けても資金繰りが厳しい」「自己破産しか道はないのだろうか」——飲食店を経営されている方の中には、そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
自己破産は、借金の返済が困難になった場合の最終的な手段のひとつです。ただし、自己破産に進む前に、負債の内容を正しく把握し、損失を抑えて店を畳む方法を検討しておくことで、結果的に手元に残るお金や、その後の生活の立て直しやすさが大きく変わることがあります。
この記事では、飲食店経営者が自己破産を考える背景から、実際に直面しやすい負債の内容、自己破産以外の選択肢、そして手続きの流れまでを整理して解説します。
なぜ今、飲食店の自己破産が増えているのか

飲食店の経営が厳しくなる背景には、業界特有の構造的な要因が重なっています。
物価・光熱費・人件費の高騰
食材の仕入れ価格や水道光熱費の上昇が続き、価格転嫁(値上げ)が追いつかない店舗では利益が圧迫されやすくなっています。家賃などの固定費は売上に関係なく発生するため、少しの客数減や原価上昇でも資金繰りが急速に悪化しやすいのが飲食業の特徴です。
需要の変化(コロナ後の回復遅れ)
コロナ禍で急減した外食需要は回復傾向にあるものの、店舗によって戻り方に差があります。特に、ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)の返済負担が重くのしかかっている状況と需要回復の遅れが重なり、資金繰りに苦しむ店舗が増えています。
人手不足による営業縮小
採用難と人件費の上昇が同時に進み、人が足りないために営業時間を短縮せざるを得ない店舗も少なくありません。売上が落ちる一方で賃上げの負担は増えるという二重苦が、経営を圧迫する要因になっています。
自己破産に進む前に、経営者が直面する「負債」の現実
自己破産を検討する段階では、まずどのような負債・契約が整理の対象になるのかを把握しておく必要があります。
| 負債・契約の種類 | 内容 | 注意点 |
| 店舗の賃貸借契約 | 原状回復費用 | 最も負担が重くなりやすい |
| 厨房設備・什器のリース契約 | 残リース料の一括請求 | 契約内容により金額が大きく変動 |
| 買掛金・仕入れ先との取引 | 未払いの仕入代金 | 取引先が多いほど関係が複雑になりやすい |
| フランチャイズ契約 | 違約金・在庫買取義務 | 契約書の条項によって対応が異なる |
| 従業員への対応 | 未払賃金・解雇予告手当 | 労働基準監督署への対応が発生する場合も |
| 金融機関・保証協会 | 連帯保証人への請求 | 個人保証がある場合は自宅など個人資産にも影響 |
中でも負担が重くなりやすいのが「原状回復費用」
上記の負債の中でも、特に見落とされがちなのが店舗の原状回復費用です。賃貸借契約では、退去時に借りたときの状態に戻す「原状回復義務」を負っているケースが一般的で、内装や設備を解体・撤去する工事費用として、小規模な店舗でも100万円前後、規模によってはそれ以上の費用がかかることがあります。
すでに資金繰りが厳しい状況で、退去時にさらにまとまった費用が必要になることは、経営者にとって大きな負担です。この原状回復費用をどう扱うかが、自己破産に進むかどうかの分かれ目になることも少なくありません。飲食店の原状回復費用の相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
飲食店の原状回復費用はいくら?2026年最新相場と費用を抑えるコツを解説
自己破産以外に、損失を抑えて閉店する方法はある

負債の整理方法は、自己破産だけではありません。特に、店舗を居抜きのまま売却する「店舗売却(居抜き売却)」は、原状回復費用の負担を回避できる可能性がある選択肢として知っておく価値があります。
自己破産と「店舗売却(居抜き売却)」の違い
自己破産は、裁判所を通じて財産を清算し、負債の返済義務そのものを免除してもらう法的な手続きです。一方、店舗売却(居抜き売却)は、内装や厨房設備を残したまま次の借り手・買い手に店舗を引き継いでもらう方法で、負債を減らしながら閉店できる可能性がある点が大きな違いです。
自己破産は最終手段であり、一度手続きに入ると事業の再建や再スタートにも一定の制約が生じます。資金繰りが完全に行き詰まる前に、店舗売却という選択肢を検討しておくことで、新たなスタートに向けた可能性が広がります。
居抜き売却なら原状回復費用がかからない理由
通常の閉店では、賃貸借契約に基づいて原状回復工事を行い、スケルトン(内装のない状態)にしてから物件オーナーに返却するのが一般的です。
一方、居抜き売却では、内装・設備をそのままの状態で次の借り手に引き継ぐため、原状回復工事そのものが不要になる場合があります。さらに、内装や厨房機器を「造作譲渡」という形で買い取ってもらえれば、譲渡益を得られる可能性もあります。
ただし、居抜き売却には物件オーナー(貸主)の承諾が必要です。契約内容や物件によっては対応できないケースもあるため、早い段階で専門業者に相談し、実現可能かどうかを確認しておくことが重要です。
自己破産・通常閉店・居抜き売却の費用比較
| 自己破産 | 通常閉店 | 居抜き売却 | |
| 原状回復費用 | 免責の対象になり得るが、財産状況により異なる | 全額自己負担が原則 | 不要になる場合がある |
| 内装・設備 | 破産管財人により処分・換価される | 解体・撤去(費用発生) | 譲渡益を得られる可能性 |
| 手続き費用 | 弁護士費用・予納金などが発生 | 特になし | 業者への相談は無料の場合も |
| 信用情報への影響 | あり | なし | なし |
※自己破産以外にも、任意整理や民事再生といった債務整理の方法があります。どの方法が適しているかは負債状況によって異なるため、詳しくは弁護士など専門家にご相談ください。
自己破産の手続きの流れと注意点
自己破産を選択する場合、一般的には以下のような流れで進みます。
- 弁護士へ相談・依頼:負債状況や資産を整理し、自己破産が適切かどうかを判断してもらいます。
- 破産申立て:裁判所に必要書類を提出します。
- 破産手続開始決定〜財産の調査・処分:財産がある場合は破産管財人が選任され、換価・配当の手続きが行われます。財産がほとんどない場合は、同時廃止事件として手続きが早期に終わることもあります。
- 免責許可決定:裁判所が免責を認めると、原則として残った債務の返済義務がなくなります。
手続きにかかる費用や期間は、財産の有無や負債の規模によって大きく異なります。弁護士費用に加え、管財事件になった場合は予納金なども必要になるため、具体的な費用・期間の見通しは、早めに弁護士へ相談して確認することをおすすめします。なお、本記事の内容は一般的な情報であり、個別の法的判断については専門家にご確認ください。
後悔しないために、経営が厳しくなったら早めに検討すべきこと

資金繰りが厳しくなった段階での相談タイミング
自己破産も店舗売却も、資金が完全に尽きてから動き出すと、選べる選択肢が限られてしまいます。特に居抜き売却は、営業を続けながら買い手を探せるという特徴があるため、「まだ大丈夫」と思える段階から情報収集を始めておくことが、結果的に損失を抑えることにつながります。
試算表や資金繰り表をもとに、あと何か月手元資金がもつのか、赤字の原因が売上減なのかコスト増なのかを整理しておくと、相談時の判断もスムーズになります。
店舗売却(居抜き売却)という選択肢を知っておくメリット

「店舗買取り.com」では、飲食店をはじめとした店舗の売却・買い取り・閉店サポートを行っています。経営が厳しくなってからではなく、まだ営業を続けられる段階から相談いただくことで、原状回復費用の負担を抑えた閉店という選択肢をご案内できる場合があります。
店舗買取り.comは、ご相談・査定から売却まで手数料0円でご利用可能です。売却手数料等も一切かからないため、売却金額をそのままお受け取りいただけます。
物件オーナーとの交渉や契約書類のやり取りなど、負担の大きい手続きも一貫してサポートいたしますので、少しでも自己破産以外の道を検討したいという方は、お早めにご相談ください。
よくある質問(個人事業主が自己破産したらどうなる?)
Q. 個人事業主が自己破産すると、事業は続けられませんか?
自己破産をしても、法律上、新たに事業を始めること自体が禁止されるわけではありません。ただし、免責決定までの一定期間は一部の職業に就けない制限(資格制限)があるほか、破産手続き中は事業用の財産が処分の対象になるため、実質的に同じ店舗で営業を続けるのは難しいのが実情です。
Q. 自己破産すると、家族の生活にも影響しますか?
自己破産の対象になるのは、あくまで申立てを行った本人の財産・負債です。ただし、連帯保証人になっている家族がいる場合は、その方に返済義務が及ぶ可能性があります。個別の状況によって影響範囲は異なるため、心配な場合は弁護士に確認することをおすすめします。
Q. 自己破産と店舗売却(居抜き売却)は、どちらか一方しか選べませんか?
負債の状況によっては、店舗売却で負債を減らしたうえで、残った負債について自己破産や任意整理などの債務整理を行うケースもあります。どちらか一方だけでなく、組み合わせて検討できる場合があるため、早めに専門家や店舗売却の専門業者に相談することが大切です。
Q. 居抜き売却は、経営が厳しい状態からでも相談できますか?
はい、ご相談自体は経営状況にかかわらず可能です。ただし、資金繰りが完全に行き詰まってからでは選べる選択肢が限られてしまうため、「まだ営業できているうち」に相談を始めていただくことで、より良い条件での売却につながりやすくなります。
まとめ
飲食店の自己破産は、負債の返済が難しくなった際の最終的な選択肢のひとつですが、その前に検討できる方法があります。特に、店舗の原状回復費用は大きな負担になりやすく、この費用がかからない「店舗売却(居抜き売却)」を知っているかどうかで、結果的に手元に残るお金が変わってくることがあります。
「店舗買取り.com」では、飲食店舗の売却・撤退・閉店、造作の買取りなどをサポートしています。相談・査定から売却まで手数料0円でご利用いただけます。自己破産以外の道を少しでも検討したい方は、お早めにお問い合わせください。
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