【飲食店向け】廃業と閉店の違いとは?店を畳む際の判断基準と費用の差を解説

飲食店をやめると決めたとき、「閉店」と「廃業」は同じ意味だと思われがちですが、実際は指す範囲も必要な手続きも異なります。言葉の違いを曖昧にしたまま進めると、届出漏れや想定外の費用発生につながることもあります。
本記事では、廃業と閉店の定義を整理したうえで、やること(手続き)と費用の違いを比較し、どちらを選ぶべきかの判断基準まで解説します。あわせて、コストを抑えつつ次のスタートにつなげる選択肢として「居抜き売却」も紹介します。
飲食店経営者が迷う「廃業」と「閉店」の言葉の定義
まずは混同されやすい2つの言葉を、飲食店の実務に即して整理します。ここを押さえると、以降の手続き・費用の違いが理解しやすくなります。
閉店と廃業はどちらも「店をやめる」場面で使われますが、何を終わらせるのかという対象が違います。対象が違うと、関係者への伝え方、解約する契約の範囲、行政手続きの数、最終的な費用まで連鎖して変わります。
閉店とは:店舗の営業を終了すること
| 閉店:特定の店舗(拠点)の営業を終えること ・複数の事業があり、1事業を閉める場合も閉店と呼ぶ。 ・チェーンや多店舗経営で不採算店を撤退するケースが典型。 |
閉店は店舗単位の判断なので、将来の再開や業態転換も選択肢に残ります。例えば同じ会社が別の場所で再出店したり、同じ物件で別ブランドとして再開したりする可能性があるのが、廃業との大きな違いです。
実務では、賃貸借契約の解約や明け渡し条件の確認、原状回復か居抜き引き渡しかの方針決定が中心になります。従業員も、他店舗があれば配置転換ができるため、雇用の終わりではなく勤務先の変更という形で対応できる場合があります。
廃業とは:事業そのものを完全にやめること
| 廃業:事業活動そのものを恒久的に終了すること ・会社や個人事業主が事業をたたむこと。 ・仕入れ、販売、雇用、取引をすべて止め、今後その事業としては動かない状態。 |
個人事業主なら事業をやめる意思決定と税務手続きが中心ですが、法人の場合は会社をどう終わらせるか(解散・清算)まで視野に入ることが多くなります。店舗の撤退に加えて、事業全体の契約関係を終わらせ、資産と負債を整理し、取引先との未決済を解消する必要があります。
廃業は、範囲が広いぶん、関係者への影響も大きくなります。従業員の雇用終了、取引停止の通知、許認可や税務の整理など、終わらせる対象が多いので、スケジュールを逆算して段取りを組まないと、最後に支払いと手続きが集中して資金繰りが苦しくなるリスクがあります。
【比較表】廃業と閉店で「やること(手続き)」はどう違う?
廃業と閉店では、必要な「手続きの対象範囲」が大きく異なります。簡単に言えば、閉店の手続きを土台として、さらに税務や法務などの事業全体を終わらせる手続きが上乗せされるのが廃業です。
飲食店は、物件の賃貸借契約だけでなく、POSレジや予約システム、害虫駆除、有線放送など、多岐にわたる契約を結んでいます。「廃業」と「閉店」のどちらの対応をとるのか曖昧なまま進めると、解約漏れが発生し、無駄なコストを支払い続けることになりかねません。
| 項目 | 閉店でやること(店舗単位) | 廃業でやること(事業全体) |
| 対象範囲 | 特定の店舗のみ | 事業そのもの・会社全体 |
| 主な手続き | ・物件の解約(原状回復・居抜きなど) ・インフラや各種システム等の解約 ・店舗スタッフの異動や退職手続き | 【閉店の手続きに加えて以下が必要】 ・税務署等への廃業届の提出 ・売掛金や買掛金、借入の精算 ・法人の場合は解散・清算登記 |
| 関係者への対応 | 店舗周辺のお客様、該当店舗のスタッフ | すべての取引先、金融機関、全従業員など |
手続きの範囲の違い(店舗単位 vs 事業全体)
【閉店の手続き(店舗単位)】
閉店において最も優先すべきは、賃貸借契約の解約予告期間と物件の引き渡し状態(原状回復か居抜きか)の確認です。内装や設備など造作が重い飲食店では、退去日が決まってから動くと解体工事が間に合わず、余分な家賃が発生するリスクがあります。店舗単位での主なタスクは以下の通りです。
- 物件の解約・明け渡し(原状回復工事、または居抜きでの引き渡し)
- 水道光熱費、通信回線、リース品などの各種解約
- 店舗スタッフの異動、または退職手続き
- 在庫や備品、看板などの処分
【廃業の手続き(事業全体)】
廃業の場合は、上記の「店舗を閉める作業」に加えて、事業を完全に終わらせるための手続きが必要です。
- 税務署や自治体への各種届出(廃業届など)
- 取引先(仕入先など)や金融機関への事業終了の通知
- 売掛金・買掛金の精算、借入金やリースなどの債務整理
- 事業用資産(厨房設備・車両など)の処分
店舗を閉めた後も「事業の清算」というタスクが残るため、最後まで必要な作業をあらかじめ洗い出しておくことがスムーズに進めるコツです。
個人事業主と法人で異なる「廃業」の重み
一口に廃業と言っても、個人事業主か法人かによって、手続きにかかる手間や時間、費用が大きく異なります。
- 個人事業主の廃業
税務署への「個人事業の開業・廃業等届出書(廃業届)」の提出を中心に、青色申告の取りやめなど、税務・会計の整理がメインとなります。飲食店の厨房機器の売却や廃棄、在庫の処分などが確定申告に直接影響するため、帳簿と実態を正確に合わせることが大切です。 - 法人の廃業(解散・清算)
会社組織そのものを消滅させるため、個人事業主よりも手続きが非常に複雑です。株主総会での「解散」決議に始まり、清算人の選任、官報での公告(債権者への通知)、資産・負債の整理を行ったうえで、最終的に「清算結了の登記」を行う必要があります。法人の場合は、法務局での登記費用がかかるだけでなく、税理士や司法書士といった専門家への依頼がほぼ必須となるため、時間もコストもかさみやすくなります。早い段階で専門家に相談し、全体の見積もりを立てておくと安心です。
より詳しい「具体的な行政への届出書類」や「閉店・廃業にかかるコストを抑える工夫」については、以下の記事で徹底解説しています。あわせて参考にしてください。
廃業・閉店にかかる費用の違いと共通点
廃業と閉店でかかる費用の違いを理解するには、支出を店舗を返すための費用(退店コスト)と事業を終わらせるための費用(清算コスト)の2つに分けると整理しやすくなります。
| ・閉店にかかる費用:退店コストのみ ・廃業にかかる費用:退店コスト + 事業の清算・登記コスト(法人の場合) |
飲食店は内装や設備が多いため、原状回復の範囲や賃貸借の契約条件によって費用が大きく変動します。また、見落としがちなのがリースやサブスク型のシステム利用料など、解約しない限り自動継続されてしまう費用です。無駄な支出を防ぐためにも、費用の全体像と契約の停止日をあらかじめ設計しておくことが重要です。
共通して発生する「退店コスト(原状回復・違約金)」
閉店・廃業のどちらを選んだ場合でも、店舗物件を貸主に返却するための退店コストが発生します。とくに飲食店の場合は、以下の費用が重くのしかかる傾向があります。
- 原状回復工事費用:スケルトン状態に戻すための解体工事など
- 解約違約金・残存家賃:解約予告期間内に発生する家賃など
- リース残債の一括精算:厨房機器などをリース契約している場合
- 不用品の廃棄処分・看板撤去費用
賃貸借契約によっては、原状回復の工事指定業者が決まっており、相見積もりが取れず割高になるケースも少なくありません。ただし、店舗をそのまま次の借り手に引き継ぐ居抜き引き渡しができれば、高額な原状回復費用を回避し、設備の売却代金(造作譲渡代金)を得られる可能性があります。(※事前に貸主の承諾が必要です。)
廃業時のみ発生する「清算・登記コスト(法人の場合)」
法人が事業そのものを完全に辞める廃業を選択した場合、退店コストに加えて、会社を終わらせるための手続き費用(清算・登記コスト)が追加で発生します。
- 解散・清算に伴う登録免許税
- 官報への公告費用(債権者保護手続き)
- 税理士や司法書士などの専門家への依頼報酬
会社の清算は短期間で終わるとは限りません。未回収の売掛金が残っていたり、設備の売却が難航したりすると清算期間が延び、その分だけ税務申告の回数や専門家への報酬が増加してしまいます。
廃業で最も危険なのは、店舗を閉める費用(退店コスト)だけを見て意思決定をしてしまうことです。法人の場合は、退店後も手続きが続くことを前提に資金を確保し、早い段階で全体の資産と負債を整理しておくことが、最終的な資金ショートを防ぐ鍵となります。
店舗を閉める際の具体的な費用の内訳や、退店時の負担を減らす具体的なノウハウについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
どっちを選ぶべき?店をたたむ際の最適な判断基準

廃業と閉店の違いは、単なる言葉の使い分けではなくどこまで事業を終わらせるかという経営判断そのものです。判断を誤ると、手続き不足による追加コストの発生や、関係者からの信用失墜を招く恐れがあります。店をたたむ際、どの選択肢をとるべきかは、主に以下の2つの軸で決まります。
| 1. 事業を残す意思があるかどうか(別店舗の有無や再挑戦の意思) 2. 現在の債務状況(借入やリース残債を自力で完済できるか) |
別店舗があるなら「閉店」、すべてを畳むなら「廃業」
事業を継続するかどうかで、とるべき対応は明確に分かれます。
- 閉店を選ぶべきケース(多店舗経営など)
複数ある店舗のうち、不採算店舗だけを撤退する場合は閉店となります。会社や事業自体は存続するため、スタッフを他店舗へ異動させたり、一部の仕入れを継続したりと、整理する範囲を限定できます。閉店を事業立て直しの前向きな一手として位置づけることが可能です。 - 廃業を選ぶべきケース(単店舗経営・完全撤退など)
1店舗のみの経営で、その店を閉めることが事業全体の終了を意味する場合は、実態として廃業の手続きが必要です。単にシャッターを下ろして終わるのではなく、従業員の雇用、取引先との精算、税務処理、資産処分など、事業に関するすべてをゼロにする設計が求められます。
どちらを選ぶにしても、意思決定の前に賃貸借契約の解約予告期間の確認と資産(設備・在庫)や契約(リース等)の棚卸しを必ず行いましょう。これにより、撤退までの最短スケジュールと必要な資金額が現実ベースで見えてきます。
債務状況によって「倒産」を検討すべきケースも
廃業と閉店の違いを検討する以前に、もし借入や未払い金が大きく、自力での完済が難しいという状況であれば、自主的な廃業ではなく倒産(破産などの法的整理)を検討する必要があります。
無理に手元の資金だけで店じまいを進めると、途中で資金ショートを起こし、家賃や従業員の給与まで未払いになってしまう危険性があります。結果的に、関係者への損害をより大きく広げてしまいかねません。
【倒産・法的整理を視野に入れるべきサイン】
- 支払期日が迫っているが、手元の現金が不足している
- 資産をすべて売却しても、借入やリース残債を清算できない(債務超過)
追い込まれてからでは、選べる解決策が極端に少なくなってしまいます。債務に不安がある場合は、早い段階で弁護士や税理士などの専門家へ相談してください。現状の数字を正確に把握し、正しい順序で整理を進めることが、従業員や取引先への影響を最小限に抑え、経営者自身のスムーズな再出発へと繋がります。
後悔しない店じまいのために。コストを抑える「居抜き売却」の選択肢
店じまいはコストがかかる一方で、やり方次第では支出を減らし、場合によっては収入に変えることも可能です。代表例が居抜き売却です。
閉店や廃業で最も痛い支出になりやすいのが、原状回復と撤去費です。飲食店は設備量が多く、工事費だけでなく廃棄物処分や搬出費、工期延長による家賃発生まで含めると、想定以上になりがちです。
居抜き売却は、撤退コストを圧縮しやすい実務的な選択肢です。設備や内装を価値として次の出店者に引き継げば、捨てるはずだったものが売れる資産に変わり、資金繰りのクッションになります。
ただし、居抜きは早い段階から動かないと成立しにくいのも事実です。解約予告期限が迫ってから買い手探しを始めると、交渉や内見の時間が足りず、結局原状回復に戻ることがあります。撤退を決めたら、原状回復と居抜きの両にらみで準備しておくと失敗しにくくなります。
飲食店の閉店費用を抑えるなら「店舗買取り.com」で居抜き売却

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閉店時に必要な申請や手続きは、テナント貸主と直接やりとりして交渉します。「造作譲渡契約書」の作成や造作の買取りも実施しているため、慣れない手続きが多い閉店作業もスムーズに進められるでしょう。
また、売却先を見つける「居抜き店舗.com」も合わせて運営。出店希望者が11万人を超えるサービスのため、理想的な売却先が見つかります。
まずは「自分の店がいくらで売れるか」を知ることから
廃業と閉店のどちらを選択するにしても、まずは両者の違いを理解したうえで、自分の店舗の価値(売却相場)を知ることが退店コスト削減の第一歩となります。
居抜き店舗の売却価格は、内装や設備の豪華さだけで決まるわけではありません。立地や坪数などの店舗の基本スペック、設備や内装の状態などによって変動します。自己判断で諦めてしまう前に、まずは専門業者の査定を受けて現実的な売却額の目安を把握しましょう。
まとめ:違いを理解してスムーズなリスタートを
廃業や閉店の意味の違い、実際に店を畳むときの費用や手続きなどについて解説しました。廃業も閉店もコストや時間のかかる作業です。少しでも効率よくコストを抑えて実施するために、「居抜き売却」を検討しましょう。
「店舗買取り.com」では、飲食店舗の売却・撤退・閉店などを一貫してサポートを行っています。業界初の「売却手数料0円」で利用できるため、資金面に苦しむ飲食店オーナーの強い味方です。コストをできる限り抑えて、早期に店舗を売却したいオーナー様は下記のリンクから、ぜひお問い合わせください。
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