造作譲渡とは ?メリット・平均相場・税金の注意点からトラブルを防ぐ売却のコツまで解説

造作譲渡とは、店舗を売却する方法のひとつです。ここでは、造作譲渡についての基本情報や、メリット、デメリット、2026年現在の平均相場などについて解説します。あわせて、トラブルに発展しないように売却するポイントや、よくある質問についてもご紹介するので、飲食店経営に携わる方はぜひご参考にしてください。
「造作譲渡」とは?
| 造作譲渡とは、店舗の設備や内装を残した状態で次のオーナーへ譲ること |
「造作譲渡(ぞうさくじょうと)」とは、造作(建物の天井や階段、床などの内装、さらに扉やカウンターなどの造り付けの家具や設備)を次のオーナーに譲り渡すことです。
店舗を売却、または貸し出すときのテナントの種類には、大きく分けて「居抜き」と「スケルトン」の2通りがあります。
「居抜き」は、居抜き物件を次のオーナーへ譲ることから、「居抜き譲渡」と呼ばれることもあり、造作譲渡をさします。造作譲渡の場合には、建物以外の部分も譲渡されるため、譲渡してもらう側に「造作譲渡料」が発生するため留意が必要です。
| 居抜き | スケルトン |
|---|---|
![]() | ![]() |
| 設備や内装などの造作物が残ったままの状態 | 柱や配管など建物の構造がむき出しの状態 |
| 造作譲渡料の相場について | 造作譲渡を円滑に進めるポイント |
「居抜き」と「造作譲渡」の違いとは?
よく混同される「居抜き」と「造作譲渡」ですが、厳密には以下のような違いがあります。
・居抜き: 内装や設備が残ったままの「物件の状態」を指します。
・造作譲渡: その内装や設備(造作)を売買する「契約行為」を指します。
つまり、「居抜き物件を借りる際に、前のテナントから造作譲渡を受ける」という関係性になります。不動産会社との「賃貸借契約」とは別に、前オーナーとの「造作譲渡契約」を結ぶ必要がある点に注意しましょう。
造作譲渡の対象
| 対象となるもの | 対象外のもの |
|---|---|
| ・内装 ・壁 ・厨房設備 | ・テーブル ・調理器具 ・レジ |
造作譲渡に含まれるものは、内装や壁、厨房設備、空調・排気設備などが一般的です。リースで使用していた家電や設備なども対象になります。
一方で、建物の構造に関わる部分は対象外となるため注意しましょう。テーブルや調理器具なども対象外の場合が多いものの、取引ごとに異なるため確認が必要です。
含まれる範囲や細かな分類を曖昧にしているとトラブルに発展することもあります。事前にしっかりチェックしましょう。
造作譲渡にかかる税金とインボイス制度の注意点
造作譲渡を行う際には、代金を受け取って終わりではなく、税務上の処理にも注意が必要です。
消費税の取り扱い
造作譲渡料には原則として消費税がかかります。売却側が課税事業者である場合、譲渡代金とあわせて消費税を受け取り、納税する必要があります。
インボイス制度の影響
2023年10月から開始された「インボイス制度(適格請求書保存方式)」により、買い手側(新オーナー)が仕入税額控除を受けるためには、売り手側から「適格請求書(インボイス)」を発行してもらう必要があります。売り手が免税事業者の場合、買い手側が税負担を考慮して値下げ交渉をしてくるケースも増えているため、事前に自身の登録状況を確認しておきましょう。
譲渡益に対する所得税・法人税
設備を売却して利益が出た場合(帳簿価格を上回る金額で売れた場合)、その利益に対して所得税(個人の場合)や法人税がかかります。確定申告の際に必要となるため、対象となる設備の取得価格や減価償却の状況を整理しておくことが大切です。
造作譲渡を行うメリット&デメリット

| 【メリット】 ・メリット1:売却コストを軽減できる ・メリット2:閉店までの時間を短縮できる ・メリット3:内装や設備を無駄にせずに済む 【デメリット】 ・デメリット1:貸主の承諾を得る必要がある ・デメリット2:認識のずれによるトラブルを招く可能性もある |
店舗を売却する側からみて、造作譲渡には上記のようなメリット・デメリットがあります。ここでは、メリット・デメリットについてそれぞれ確認しましょう。
メリット1:売却コストを軽減できる
店舗の売却時は原状回復工事が必要なケースがほとんどです。店舗設備への手の入れ方にもよりますが、原状回復のための工事は費用がかかります。
しかし、造作譲渡であれば原状回復の必要がなく、工事費用の負担を軽減できるため大きなメリットといえるでしょう。
また、内装や設備が良い状態であったり、譲渡したりするものが多い場合には、売却費用をアップできる可能性もあります。
メリット2:閉店までの時間を短縮できる
原状回復の工事を行う場合には、時期を確認し、余裕を持って早めに閉店しなければなりません。しかし、造作譲渡では原状回復工事を行わなくて済むため、ギリギリまで営業を続け、収益を得られます。また、工事にかかる時間を短縮して、早期に店舗売却をすることもできるでしょう。
メリット3:内装や設備を無駄にせずに済む
造作譲渡では、開店時に整えた内装や揃えた設備などの造作物を廃棄することなく、次のオーナーに引き継いでもらえます。閉店するといっても、今まで使ってきた設備を捨てることなく、新しいお店の一部として活用してもらえるのは嬉しいことです。とくにお店に思い入れの強い飲食店のオーナーにとっては、大きなメリットといえるでしょう。
デメリット1: 貸主の承諾を得る必要がある
基本的に、借主は貸主に対して原状回復義務があります。そのため、造作譲渡を行うためにはテナントの貸主から承諾を得る必要があり、原状回復義務は新借主への引き継ぎが必要です。また、物件所有者・貸主が、次も飲食店として貸し出す意思があるかどうかの確認も必須といえます。
場合によっては、造作譲渡の承諾を得るまでに時間がかかることや、了承を得られない可能性もあることを事前に知っておきましょう。
デメリット2:認識のずれによるトラブルを招く可能性もある
造作譲渡の範囲や内容を双方が正しく認識できていないと、思わぬトラブルを招く恐れもあります。とくに、下記のような内容がトラブル発展につながりやすいため、注意しましょう。
| 【トラブルのもとになりやすい内容】 ・リース品の支払い費用や利用期間 ・破損がある設備の修理費用 ・不用品の処分にかかる費用 |
造作譲渡料の平均相場は?
| 造作譲渡料は、その店舗の価値や立地条件などによって決まります |
造作譲渡料は、単純に譲渡対象物の価値で決まるわけではありません。好立地で人気の物件などであれば、高額になる可能性もありますし、反対に、人通りが少ない立地の物件であれば、低くなることもあるでしょう。
東京などの都心部では200~300万円くらいが相場とされています。焼肉や中華など排気設備が大型となる業種では、300万円以上になることもあります。
【2026年最新】業態・坪数別の造作譲渡料の目安
造作譲渡料は、設備の充実度や物件の需要により大きく変動しますが、近年の傾向(2026年時点)としては以下の通りです。
| 業態 | 相場の目安 | 価値が高まるポイント |
| 中華・焼肉 | 300万〜500万円 | 強力な排気設備(ダクト)や高火力な厨房機器 |
| カフェ・バー | 100万〜250万円 | 内装のデザイン性や、こだわりのカウンター設備 |
| 美容室・サロン | 150万〜300万円 | シャンプー台の台数や、配管の状態 |
また、坪数で見ると、需要の高い10〜20坪程度の小規模物件は、坪単価が高くなりやすい傾向にあります。
造作譲渡する双方が、お互いに納得して契約を進めるために、次の項目でポイントをチェックしておきましょう。
【トラブル回避】造作譲渡を円滑に進めるポイント

トラブルにならないよう造作譲渡を円滑に進めるためには、上記のようなポイントを知っておくことが重要です。それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
時間にゆとりを持って貸主とやり取りを行う
造作譲渡には、貸主からの承諾が必要です。スムーズに進むこともありますが、場合によっては、承諾を得るのに時間がかかることもあるでしょう。
日程をギリギリの状態で進めると、希望する時期に店舗を売却できなかったり、その分の家賃がかかってしまったりすることもあります。
閉店を決めた時点で、まずは賃貸契約書を確認し、時間にゆとりのあるスケジュールで、貸主とやり取りを進めていくと安心でしょう。
リース品の有無や設備の状態などを確認する
物件の設備の中にリース品があるかどうか確認しましょう。もしリース品がある場合には、その契約状況についての確認も必要です。造作譲渡するものの中に、リース品も含まれている場合には、リース契約も一緒に引き継がれます。確認を怠り、リース品と知らずに処分や売却を行うと大きなトラブルの元になり得るので気をつけましょう。
また、リース品で譲渡する設備が破損していないかなどの確認も必要です。譲渡の範囲・契約内容に関わることのため、慎重に対応しましょう。
譲渡内容や処分方法の詳細を明確にする
一般的に、造作譲渡契約書には、「一式」とひとくくりに書く場合が多い傾向です。譲渡内容の書き方が曖昧であったり、譲渡品の中に、次のオーナーにとって不用品が含まれていたりすると、トラブルに発展する可能性もあります。契約締結前に、現在の飲食店オーナーと新しい飲食店のオーナー間で内容をきちんと確認しましょう。
また、譲渡品の中に、不用品やリース品が含まれるときには、その扱いや処分・修理費用の負担などについても明記すると安心です。
信頼のおける業者に依頼する
造作譲渡を行う際には、貸主の承諾を得たり、次のオーナーと譲渡内容をすり合わせたりするなど手間がかかります。普段、行うことのない作業が多く発生するため、対応漏れがあると、契約締結後に思わぬトラブルに発展する可能性もあります。
より安心、かつトラブルなく店舗の売却を進めたい方は、飲食店舗の買取り・売却に特化した専門業者に相談するのがおすすめです。
飲食店の造作譲渡をお考えなら「店舗買取り.com」 へ!

| 【店舗買取り.comがおすすめの理由】 ・業界初「売却手数料0円」で利用できる ・テナント貸主と直接交渉して負担を軽減できる ・オーナーの希望に合わせた売却先を見つけてくれる |
「店舗買取り.com」は、賃貸借契約にある「原状回復義務」などについて、テナントの貸主と直接やりとりをして交渉します。造作譲渡契約書の作成から、法務の確認なども一貫して対応するので、初めて店舗を売却する場合も安心してお任せください。
また、居抜きで上手に売却することができれば、原状回復費用や解約前予告家賃などがかからないメリットも見逃せません。造作を高額で買い取ってもらえる場合も。
さらに、出店希望者10万人以上を抱える「居抜き店舗.com」も運営していますので、オーナー様の希望売却額を可能な限り叶えられる売却先を探すことも可能です。
造作譲渡についてよくあるQ&A
| ・造作譲渡はトラブルになりやすい? ・造作譲渡契約書は誰が作るもの? ・造作譲渡はどのような流れで進める? ・造作譲渡料に消費税はかかる? ・減価償却が終わっている設備も売れる? |
店舗を売却するうえでメリットの多い造作譲渡。ここでは、造作譲渡を行う際によくある質問についてお答えします。
Q.造作譲渡はトラブルになりやすい?
| A.手続きに漏れがあると、トラブルに発展することもあります |
現在の飲食店オーナーと新しい飲食店のオーナーの間で、契約内容の解釈に行き違いがあると、トラブルを招く可能性もあります。そのため、曖昧な契約内容にしないようお互いに契約内容をよく確認したり、詳細に内容を明記したりすることで、トラブルを回避できるでしょう。
Q.造作譲渡契約書は誰が作るもの?
| A.前借主と新借主で作ります |
多くの場合、前借主と新借主が直接契約する造作譲渡契約は、契約書の書式に決まりはなく、双方が納得する形で作成します。必要に応じて、専門家のサポートを受けると安心でしょう。
「店舗買取り.com」で造作譲渡をする場合には、専門家が契約書の作成や法務の確認なども一貫して行います。もし手続きに不安がある場合、一度ご相談ください。
Q.造作譲渡はどのような流れで進める?
| A.まずは契約書を確認し、物件の貸主の承諾を得ましょう |
造作譲渡を考える場合には、現在の物件の契約書を確認し、早い段階で物件の貸主に承諾を得ましょう。早めに承諾を得ることで、余裕を持ったスケジュールで進められます。
ただ、もし交渉や手続きに不安がある場合、専門会社に相談するのもひとつの手です。契約内容、店舗の内装や設備のうち何を譲渡するのか、リース品の内容や期限はどうなっているのかなども、専門家と相談しながら進めることで漏れなく対応できます。
円滑な閉店・売却のためには、早め早めの行動がカギとなるでしょう。
Q.造作譲渡料に消費税はかかる?
| A.原則として消費税の課税対象となります |
厨房機器や家具などの「動産」の譲渡は課税取引に該当します。ただし、売り手側が消費税の免税事業者である場合は、消費税を納税する義務はありません。インボイス制度開始後は、買い手側との認識合わせがより重要になっています。
Q.減価償却が終わっている設備も売れる?
| A.はい、売却可能です |
税務上の法定耐用年数を過ぎていても、実際に使用可能で価値があると判断されれば、造作譲渡料をつけて売却することができます。この場合、売却価格の全額が「譲渡益」として扱われる点に留意してください。
ポイントをおさえ、スムーズに造作譲渡を進めましょう
造作譲渡は、店舗を売却する側と購入する側双方にメリットがあります。原状回復工事をする必要もなく、愛着のある設備や内装をそのまま次のオーナーに使用してもらうこともできるでしょう。
一方で、適切に対応しないとトラブルを招く可能性もあります。譲渡品の範囲やリース品の取り扱いなど明確にし、トラブルのないよう進めていく必要があります。とくに交渉は、トラブルが起きやすい傾向です。手続きをトラブルなく円滑に進めたい方は、専門家に相談するのもひとつの手でしょう。
「店舗買取り.com」では、飲食店舗の売却・撤退・閉店などを一貫してサポートします。業界初の「売却手数料0円」で、飲食店経営者様のお悩みに寄り添います。契約書の作成や交渉など、慣れない作業も行いますので安心してお任せください。コストをできる限り抑えて、早期に店舗を売却したいオーナー様は、まずはお気軽にご相談ください。
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