飲食店の閉店に伴う手続きやコストを徹底解説!閉店コスト削減法も

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飲食店の閉店を考えているけど、何から手をつければいいか分からないという方もいるでしょう。手続きの漏れやトラブル、多額のコストがかかることを防ぐため、まずやるべきことや提出すべき書類など、細かく把握しておきましょう。今回は、飲食店の閉店に伴う手続きから、かかるコストまで詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

飲食店を閉店する際にやるべきこととは?

飲食店を閉店する際には、手続きや挨拶など、開店時と同様にやるべきことが多くあります。
まず挙げられるのは、行政機関への書類提出です。行政機関への書類提出は、期限を過ぎると罰金・罰則を科せられる可能性もあるため、早い段階から準備を進めるべきでしょう。

また、その他手続きとしては一般的な引っ越し同様、ガスや電気の停止、物件の解約などを行います。借入金がある場合は金融機関へ報告、リース品がある場合にはリース品の返却・精算や借入金の返済が必要です。さらに、従業員への解雇通知や、仕入先業者とお客様への報告と挨拶も行います。

それぞれの手続き・作業について、このあと詳しく解説していきます。

飲食店閉店時に必要な届け出とは?

まずは、飲食店を閉店する際に必要な届け出について解説します。
飲食店を開業した際には、行政各所で手続きを行っているはずです。閉店の際にも、開店時と同様に様々な手続きを行わなければなりません。閉店の手続きに必要な書類は、提出期限が設けられていることも多いため、早めに提出準備を始めましょう。

以下、行政機関別に届け出が必要な書類の詳細と期限について解説します。

保健所
税務署
日本年金機構
警察署
消防署
公共職業安定所
労働基準監督署

保健所

提出が必要な店舗全飲食店
提出書類・廃業届
・飲食店営業許可書(返納)
提出期限営業を廃止した日から10日以内
提出書類入手先所轄の保健所のHP・窓口

飲食店を開業する際には、個人であっても企業であっても、保健所に「飲食店営業許可書」を提出しています。閉業の際には、飲食店営業許可書を返納します。
また、飲食店営業許可書を返納する際には、あわせて「廃業届」の提出が必要です。廃業届は、保健所の窓口で入手するほか、国税著のホームページからもダウンロードできます。

税務署

提出が必要な店舗全飲食店
提出書類・個人事業の開業・廃業等届出書
・給与支払事務所等廃止届出書
・所得税の青色申告の取りやめ届出書
・事業廃止届出書
提出期限個人事業の開業・廃業等届出書、給与支払事務所等廃止届出書:
廃業した日から1カ月以内
所得税の青色申告の取りやめ届出書:
青色申告を取りやめる年の翌年3月15日まで
事業廃止届出書:速やかに提出
提出書類入手先国税庁のHP

税務署での書類手続きは、各飲食店によって異なります。個人事業の場合は、廃業した日から1ヵ月以内に個人事業の開業・廃業等届出書の提出を行いましょう。青色申告をしていたのか、消費税を払っていたのかなど飲食店の譲許によって、その他の手続きが異なります。時点が回答する項目がないのか、しっかりと確認しておきましょう。

日本年金機構

提出が必要な店舗雇用保険や健康保険の加入店
提出書類・健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届
・雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)のコピー
提出期限事実発生から5日以内
提出書類入手先日本年金機構のHP

「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」を提出する際には、添付すべき書類があります。解散登記の記入がある「法人登記簿謄本」のコピー、もしくは「雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)」のコピーを添付しましょう。なお、健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届の提出方法は豊富で、電子申請や郵送、窓口提出などの方法から選べます。

警察署

提出が必要な店舗深夜酒類提供飲食店
提出書類・返納理由書
・深夜酒類提供飲食店営業の廃止届出書
・風俗営業の廃止届出書
提出期限営業を廃止した日から10日以内
提出書類入手先警察庁のHP

飲食店の開業時に「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を提出している場合、営業を廃止した日から10日以内に廃止届出書の提出が必須です。さらに、風俗営業許可のある飲食店は、返納理由書と風俗営業の廃止届出書を提出します。「返納理由書」と「風俗営業の廃止届出書」も、営業を廃止した日から10日以内に手続きを行ってください。

消防署

提出が必要な店舗防火・防災管理者選任届出書を提出した飲食店
提出書類・防火管理者解任届
提出期限速やかに提出
提出書類入手先消防庁のHP

開業時や営業を始めて「防火・防災管理者選任届出書」を消防庁に提出した飲食店は、「防火・防災管理者解任届出書」を廃業時に提出しましょう。防火・防災管理者選任届出書の提出は、飲食店の収容規模やテナントによって提出が不要である場合もあります。開業時に防災管理者不要であった場合には、解任届の提出は不要です。

公共職業安定所

提出が必要な店舗雇用保険に加入する飲食店
提出書類・雇用保険適用事業所廃止届
・雇用保険被保険者資格喪失届
・雇用保険被保険者離職証明書
提出期限廃業の翌日から10日以内
提出書類入手先公共職業安定所のHP・窓口

雇用保険に加入する飲食店は、廃業時に複数の書類を公共職業安定所に提出する義務があります。提出する書類によって提出期限が異なる点に気を付けましょう。特に、廃業の翌日から5日以内と期限の短い「雇用保険適用事業所廃止届」の提出忘れには注意です。書類は公共職業安定所の窓口で受け取れる他、ホームページからダウンロードできる届出もあります。

労働基準監督署

提出が必要な店舗従業員を雇用し、労働保険に加入している飲食店
提出書類・労働保険確定保険料申告書
提出期限営業停止日から50日以内
提出書類入手先毎年送られてくる

従業員を雇っていた飲食店は、労働保険に加入しているでしょう。労働保険に加入した場合には、閉店の際、「労働保険確定保険料申告書」を提出する必要があります。提出期限は閉店日から50日以内と、他の提出書類に比べると長めです。しかし、後回しにすれば忘れてしまうことも考えられるため、できるだけ早めに手続きを行いましょう。

飲食店閉店に伴うその他関係各所への連絡

飲食店が閉店する際には、行政機関以外にも連絡が必要な場合があります。特に、借入金やリース品がある場合は、最低限の知識を得ておきましょう。

【借入金がある場合】金融機関へ報告

飲食店の開業時に、金融機関から融資を受けることは多いでしょう。借入金の返済期間中に閉店する場合は、閉店後も支払いを続ける必要があります。
飲食店の閉店は、金融機関からすると融資の対象がなくなったことと同様です。追加融資の判断材料となるため、返済が滞ることなく行えたとしても、金融機関へ報告は必ず行いましょう。万が一、金融機関への報告なしに返済が滞れば、次回以降の融資が受けにくくなります。

【リース契約やレンタル品がある場合】リースの精算、レンタル品の返却

リース契約のある物品は、他社や個人への譲渡・売却ができません。譲渡や売却ができない理由は、物品の所有権がリース会社にあるためです。
飲食店にリース契約を締結した物品がある場合は、返却手続きを行います。なお、閉店時にリースの支払いが残っている場合は、一括清算となる場合が多いでしょう。残高が多く一括清算が難しい場合は、リース会社に相談しましょう。レンタル品もリースした物品と同様に、返却手続きが必要です。

ガス・電気・水道・Wi-Fiの解約

飲食店を閉店する際には、一般的な家庭の引っ越し同様の手続きが必要です。ガスや電気、水道はもちろん、Wi-Fiの解約も行います。閉店の際に余計なコストを発生させないためにも、前もって解約日を決めておくと安心です。解約手続きの方法は会社によって異なるため、事前に調べておきましょう。

物件の契約解除

物件の契約は解除する手続きは、賃貸契約の内容によって異なります。テナントとして入居している場合、退去することの事前報告が必要です。一般的には、閉店の3~6ケ月前に報告を行います。賃貸借契約書に目を通し、実際の解約予告期間を確認しましょう。

また、居抜きのまま引き継がない限りは、基本的に原状回復工事を行うことになります。工事には時間がかかるため、計画的に解約日を設定することが大切です。

従業員への解雇通知

従業員を雇用している場合は、アルバイトやパートも含めて解雇通知を出します。「整理解雇の4要件」を満たさなければ、閉店や廃業による解雇ができません。

1.人員整理の必要性
2.解雇回避努力義務の履行
3.被解雇者選定の合理性
4.解雇手続の妥当性

従業員は他の働き口を探さなければいけない可能性もあるため、できる限り早めに報告を行いましょう。

仕入先業者やお客様への報告と挨拶

お世話になった仕入れ業者には、できるだけ早めに報告と挨拶を行います。また、顧客に対してもこれまでの感謝を込めて閉店のお知らせを行うと良いでしょう。顧客へ閉店のお知らせをする際は、店舗への張り紙、TwitterやInstagram・FacebookなどのSNS・公式ホームページなどを活用するとスムーズです。

飲食店の閉店にかかるコストは?

飲食店が閉店する際には、解約費用や工事費など様々なコストがかかります。閉店間際になって慌てないためにも、飲食店が閉店する際に必要なコストについて確認しましょう。

「平成30年度中小企業・小規模事業者の次世代への承継及び経営者の引退に関する調査に係る委託事業 報告書」によると、発生した廃業の費用総額は37.3%が1円~50万円未満に収まっている一方で、36.2%が100万円以上かかっていることがわかりました。

飲食店の閉店にかかるコストには主に、以下のようなものが挙げられます。

設備・備品の処分・リース物品の途中解約費用
原状回復工事費
従業員の給料(解雇予告手当)

設備・備品の処分・リース物品の途中解約費用

設備品の大きさは店舗規模によって異なりますがが、どのサイズであっても処分する場合には費用がかかります。店舗売却を行えば費用は掛かりません。しかし、設備の状態によって買い手が見つからないことも考えられるでしょう。

また、リース品は支払いが残っている場合、閉店後も支払いを続けなければなりません。リース契約の内容によっては、別途、途中解約金が必要になる場合もあるので確認しておきましょう。

原状回復工事費

飲食店を閉店する場合、退去日までに物件の原状回復工事の実施が必要です。物件は基本的に、借りた当時の状態に戻してから返却します。
飲食店の場合、店舗を汚してしまいやすいため、コストが高くなりがちです。原状回復にどれくらいの費用がかかるのか、しっかり見積っておきましょう。

従業員の給料(解雇予告手当)

飲食店の閉店に伴い従業員を解雇する場合は、解雇予告を前もって行う必要があります。解雇予告は、最低でも閉店の30日以前に実施しましょう。
30日に満たず解雇する場合には、不足日数分の平均賃金を解雇予告手当として支払う義務があります。従業員の退職金制度を定めていた場合には、退職金を払う義務もあることも知っておきましょう。

閉店コストを削減したい場合は「居抜きでの店舗売却」がおすすめ

閉店コストを削減したい場合には、居抜きでの売却を行いましょう。居抜きでの売却は、原状回復工事費用がかからないため、コストを削減できます。さらに居抜きでの売却では、設備も一式、次のテナントに有償で譲り渡すことが多い傾向です。そのため、処分費用がかからないだけでなく、入金がある可能性も考えられます。さらに、リース物品の契約も引き継いでもらうことができれば、途中解約金も発生しません。

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