飲食店の閉店費用はいくら?相場・内訳から負担を最小限に抑える方法まで解説

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飲食店の閉店では、営業を止めるだけでなく「物件の退去」「精算」「手続き」まで含めてまとまった費用が発生します。特に原状回復工事(スケルトン戻し)や解約予告期間中の賃料は高額になりやすく、資金計画を誤ると次の再出発に影響します。

本記事では、閉店費用の相場感をモデルケースでつかんだうえで、費用の内訳6項目と、閉店する際の主な流れ、実務上のコスト削減策、負担を大きく減らせる可能性がある「居抜き売却」についてまとめて解説します。

「いくらかかるか」と同時に「どうすれば減らせるか」を具体化し、最小限の持ち出しでスムーズに閉店できる状態を目指しましょう。

飲食店を閉店する際にかかる費用の相場とモデルケース

飲食店の閉店費用は、店舗の広さ(坪数)や家賃、賃貸借契約の条件によって大きく変動します。しかし、まずは閉店の費用相場の物差しを持っておくことで、安全な資金計画を立てやすくなります。

閉店費用の目安は「家賃の6〜10ヶ月分」

これは、解約予告期間の賃料(例:3〜6ヶ月)に、原状回復工事・不用品処分・清算費用などが上乗せされ、合計が膨らみやすいためです。

特に注意したいのは、閉店して売上が止まっても家賃は発生する点です。営業終了日と賃貸借契約の終了日は別で、工事や立会いが終わるまで賃料が続くケースもあります。

また、保証金が戻る前提で資金繰りを組むと、返還が数ヶ月遅れたときに支払いが回らなくなります。契約条件で上下するため、目安は一点ではなく「幅」で持ち、最悪ケースでも回るように準備するのが現実的です。

【シミュレーション】15坪・家賃20万円の店舗での閉店費用例

小規模な飲食店を想定し、具体的な閉店費用の内訳をシミュレーションしてみましょう。

費目金額の目安内訳・備考
解約予告期間中の賃料60万〜120万円3〜6ヶ月分として計算
原状回復工事費45万〜120万円坪単価3万〜8万円として計算
不用品処分費20万〜60万円厨房機器・家具・食器などの廃棄
人件費・諸経費30万〜60万円未払給与、有休消化、公共料金の精算など
リース残債・解約清算金数十万〜数百万円契約内容や残存期間により大きく変動
合計の目安約150万〜350万円 +α※設備量や契約条件でさらに上下します

小規模店舗でも上記のように高額な費用が掛かる一方で、物件の居抜き売却が成立し、内装・厨房設備を引き継げる場合は、原状回復や処分費が大きく圧縮されます。さらに造作譲渡料を得られる可能性もあるため、同じ条件でも「多額の持ち出し」から「手元に資金が残る」へ結果が変わり得る点が、意思決定の重要ポイントです。

飲食店の閉店費用の内訳|知っておくべき6つの項目

1. 原状回復工事(スケルトン戻し)の費用
2. 解約予告期間中の賃料(空家賃)
3. リース品の残債・解約清算金
4. 厨房機器・備品の不用品処分費用
5. 従業員への給与・解雇予告手当
6. 諸経費(公共料金の精算・印紙代等)

閉店費用で多い失敗は、物件の原状回復だけを見積もって安心し、解約予告賃料やリース残債、人件費を後から積み上げて資金不足になることです。閉店は、契約・設備・人・行政手続きが同時進行するプロジェクトだと捉えると抜け漏れが減ります。

費用項目は「契約で決まっていて動かしにくいもの」と「工夫と交渉で下げられるもの」に分かれます。前者は早く確定させ、後者は選択肢(居抜き・買取・段取り)で圧縮するのが基本方針になります。

1. 原状回復工事(スケルトン戻し)の費用

原状回復工事は、閉店費用の中で最も高額になりやすい項目です。とくに飲食店の場合、内装や設備をすべて撤去・解体し、コンクリート打ちっ放しの状態に戻す「スケルトン戻し」を賃貸借契約で義務付けられているケースが多く見られます。高額化する主な理由は以下の通りです。

  • 排気ダクト、グリストラップ、給排水・ガス配管など、撤去や復旧の対象が多岐にわたるため
  • 廃棄物の処理費や、搬出・養生にかかる人件費が上乗せされるため

業者から見積もりを取る際は、貸主や管理会社とどこまで元の状態に戻す必要があるか(解体範囲)を事前にすり合わせることが重要です。ここが曖昧なままだと追加工事が発生し、結果的に内装の解体費用も工期も膨らんでしまいます。

原状回復の範囲や詳しい費用については、こちらの記事も参考にしてください。

飲食店を撤退するときの原状回復、どこまで必要?費用相場もご紹介

2. 解約予告期間中の賃料(空家賃)

店舗の賃貸借契約では、「解約は何ヶ月前までに通知」という解約予告期間が定められています。

例:解約予告が「6ヶ月前」の場合
今日閉店を決断してすぐにお店を閉めても、今後6ヶ月間は空家賃を払い続ける義務があります。

営業終了日から、工事期間、引き渡し日までのスケジュールを逆算して解約予告を出さないと、売上は無いのに退店日まで家賃だけ払い続ける状態に陥ります。

ただし、居抜き売却などで次の借り手が早く見つかる見込みがあれば、貸主にとっても空室リスクが減るため、交渉次第で期間を調整できる余地が生まれることもあります。

解約予告期間とは?対応や実施の注意点はこちら

3. リース品の残債・解約清算金

厨房機器やPOSレジ、製氷機などをリースや割賦で導入している場合、閉店に伴う中途解約で残債の一括支払いを求められるケースがあります。月々の支払額は小さくても、残存期間が長いとまとまった金額になります。まずは各契約書や支払明細を確認し、以下の項目を整理しましょう。

  • 残りの契約期間と残高
  • 中途解約時の条件(違約金や清算方法)

閉店が決まってから慌てて連絡すると、撤去スケジュールの調整が間に合わず、余計な費用が発生することがあります。なお、居抜きで店舗を売却する場合、リース品の名義を次のオーナーへ引き継ぐことができれば、清算の負担をなくせる可能性もあります。

リースとレンタルの違いは?メリットや契約の注意点はこちら

4. 厨房機器・備品の不用品処分費用

飲食店から出る不用品(厨房設備や備品など)は、産業廃棄物扱いにになるものが多く、自治体の粗大ごみの感覚では処理できません。金属くず、家電、可燃・不燃、油汚れの有無などで区分が変わり、処分費も変動します。さらに、以下の様な店舗物件の立地条件によって、搬出・処分費用は大きく跳ね上がります。

  • 店舗が2階以上でエレベーターがない(階段搬出)
  • 間口が狭い、または深夜作業しかできない
  • 道路使用許可が必要な立地である

処分業者を選ぶ際は必ず複数社から相見積もりを取り、追加費用の条件を比較しましょう。また、居抜き売却や買取が成立すれば「処分費が減る、またはゼロになる」可能性があるため、処分を急ぐ前に選択肢を確認するのが得策です。

5. 従業員への給与・解雇予告手当

閉店時は、スタッフへの給与精算や各種手当の支払いも集中します。人件費にかかわる主なチェック項目は以下の通りです。

  • 最終月までの未払給与・残業代
  • 未消化の有給休暇の取り扱い
  • 退職金の有無(就業規則に基づく)

解雇に該当する場合、原則として30日前の予告が必要で、満たない場合は不足日数分の解雇予告手当(平均賃金相当)を支払う必要があります。閉店の決断が遅いと、この手当が追加コストとして発生しやすくなります。スタッフの生活に直結する部分ですので、早めの説明と丁寧な合意形成が、結果的にトラブルとコストの両方を抑えることにつながります。

6. 諸経費(公共料金の精算・印紙代等)

意外と見落としがちなのが、以下のような細かな諸経費の積み重ねです。

  • インフラ・サービスの精算:電気、ガス、水道の最終清算、ネット・電話回線の解約
  • サブスクの停止:予約台帳システム、有線(BGM)、害虫駆除などの契約解除
  • 手続き関連費用:各種手続きの印紙代、法人を解散・清算する場合の登記費用や税理士報酬

閉店前後は判断が多く、こうした小口が抜けやすいため、一覧化して順に解約・精算していくのが確実です。大きな費用を抑えることが優先ですが、諸経費は漏れた分だけ無駄に払う性質があります。棚卸しの精度が、そのまま閉店コストの最終差分になります。

飲食店を閉店する際の主な流れ

飲食店の閉店において、費用と同じくらい注意すべきなのが手続きの順番です。閉店時のトラブルや追加コストの多くは、段取りのミスから発生しています。無駄な支出を防ぐためには、行き当たりばったりではなく、「退去(明け渡し)の日」から逆算してスケジュールを組むことが極めて重要です。以下は、閉店の際の主な流れです。

1. 賃貸借契約書の確認と閉店費用の概算
2. 貸主と専門業者へ居抜き売却の相談・解約予告の提出
3. 関係者への告知と各種解約・精算
4. 原状回復工事または居抜き引き渡し準備
5. 店舗の明け渡しと最終精算

ポイントは、「解約予告期間」「次の買い手の募集期間」「工事期間」が上手く重なるように調整し、無駄な空家賃を最小化することです。

飲食店の撤退に必要な手続きは?費用や負担を減らす方法はこちら

飲食店の閉店に必要な「廃業届」の書き方はこちら

飲食店の閉店に伴う手続きやコストを徹底解説!閉店コスト削減法も

コストを削減するために実践すべきこと

判断の早さと“捨てない工夫”で閉店コストは下げられます。すぐ着手できる実践策を3つに絞って整理します。

厨房機器や備品を「廃棄」ではなく「買取」に出す
解約告知のタイミングを1日でも早く判断する
火災保険や各種サービスの解約返戻金を確認する

閉店コストは、結局のところ「撤去する量」と「時間(家賃)」の掛け算で膨らみます。逆に言えば、捨てる量を減らし、決断を前倒しできれば、支出の山は低くできます。

厨房機器や備品を「廃棄」ではなく「買取」に出す

冷蔵冷凍庫、製氷機、コンロ、フライヤー、シンク、作業台、食器棚、椅子テーブルなどは、状態次第で買取対象になりやすい代表例です。廃棄すると費用がかかりますが、買取なら処分費を削減しつつ現金化できるため、効果が二重になります。

【査定額がつきやすくなるポイント】

  • 年式が新しく、正常に動作する
  • 日頃から清掃されており、油汚れなどが少ない
  • 付属品(取扱説明書など)が揃っており、型番が明確にわかる

買取価格は業者で差が出やすいので、複数社で見積もりを取り、搬出費や取り外し費がどちら負担かも合わせて確認しましょう。買取額だけ高く見せて、搬出費で相殺されるケースを避けるためです。

解約告知のタイミングを1日でも早く判断する

判断の遅れがそのままコスト増につながります。利益が出ていない時期ほど、家賃1ヶ月分の重みが増します。退去日を決める際は、ただお店を閉める日ではなく、「契約終了日(明渡し日)」をゴールとして設定し、そこから工事期間などを逆算して解約予告を出します。

【契約書で必ず確認すべき注意点】
解約の起算日が「通知が到達した日」なのか「通知した月の月末」なのかで、家賃1ヶ月分の差が生じることがあります。迷ったら管理会社へ確認し、証拠が残る方法で通知するのが安全です。

もし閉店を決断すべきか迷っている段階であれば、飲食業界の廃業率の現状も一つの指標になります。 詳しくは以下の記事をご覧ください。

飲食店の廃業率・生存率はどれくらい?統計データから推移や今後の見通しを解説

火災保険や各種サービスの解約返戻金を確認する

閉店時は支出に目が向きますが、返戻金や日割り精算の有無を確認すると、取りこぼしを減らせます。以下の項目に解約漏れがないか、必ず棚卸しを行いましょう。

  • 返戻金がある可能性があるもの
    火災保険、家賃保証サービス、リース付帯の保険など(※契約の残存期間による)
  • 月額課金(サブスク)サービス
    有線BGM、予約管理システム、POSレジ、決済端末、害虫駆除、マットの定期清掃など

月額サービスは、解約の締め日を1日でも過ぎると余計な1ヶ月分を支払うことになります。また、保険の返戻金は自ら解約手続きをしないと戻ってこないことがほとんどです。閉店前後は非常に慌ただしくなるため、早めに「解約・精算リスト」を作成し、期日を管理することをおすすめします。

閉店費用を劇的に抑える!「居抜き売却」という選択肢

閉店費用の中でも特に重い「原状回復」と「処分」を圧縮できるのが、居抜き物件の状態で店舗売却をする「居抜き売却」です。成立すれば持ち出しを減らすだけでなく、資金を残せる可能性もあります。

居抜き売却は、物件の内装・設備(造作)を次の借り手に引き継いでもらい、店舗を売却して退去する方法です。飲食店は厨房設備などの設備投資が大きい分、閉店時も撤去費がかさみますが、居抜きでの店舗売却が成立するとその構造が逆転し、コストが削減されます。

ただし、居抜き売却は店舗オーナー単独では成立しません。貸主の承諾、契約条項の確認、引渡し条件の整理、買い手募集といった条件をクリアする必要があるため、早期の準備が不可欠です。

原状回復費用が「ゼロ」になる可能性がある理由

原状回復の目的は「貸主が次の入居者に貸せる状態にする」ことなので、次の入居者がすでに決まっていて現状で入るなら、居抜き物件の状態で置いておくのは合理性があるからです。ただし、前提として以下のステップが必要になります。

  • 貸主(オーナー)の承諾を得る
    契約上スケルトン戻しが絶対条件となっていないか確認し、貸主の許可を得ます。
  • 引き継ぐ範囲を明確にする
    「残す設備」と「撤去する不用品」をリスト化し、責任の所在をはっきりさせます。
  • 書面で合意する
    口約束のまま退去すると、後から「残置物の撤去費用」として請求されるトラブルのリスクがあるため、必ず書面に残します。

造作譲渡料で手元に資金を残せるメリット

居抜き売却が成立すると、造作譲渡料として内装・設備の対価を受け取れる可能性があります。

通常の退去数百万円の工事費・処分費を支払う
居抜き売却費用が浮いたうえで、数十万~数百万円の譲渡料を受け取る

造作譲渡料は、投資額の残りをそのまま回収できるものではなく、需要(立地、賃料水準、導線、設備の使いやすさ、業態適性)で決まります。設備が古くても、出店したい人が多い立地では価格が付きやすい一方、買い手が少ないと減額や長期化も起こります。

保証金の返還はタイムラグがある一方、造作譲渡料は成立すれば比較的早く入金されることが多く、資金繰り改善に直結します。過度に期待しすぎず、複数の価格シナリオで計画するのが現実的です。

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まとめ:閉店費用を正しく把握して、スムーズな再出発を

飲食店の閉店費用は、原状回復・空家賃・残債・処分・人件費などの合算で想定以上になりがちです。相場感をつかんだうえで内訳を洗い出し、居抜き売却や買取活用、解約判断の前倒しで負担を最小化し、次の一歩につながる閉店を実現しましょう。

閉店費用を軽減したい飲食店オーナー様には、通常閉店ではなく、居抜き売却の検討がおすすめです。「店舗買取り.com」なら、飲食店の売却にかかわる手続きやテナント貸主との交渉を徹底サポート。閉店手続きを最後まで伴走します。また、売却手数料などの諸費用はすべて0円のため、コストをできる限り抑えたい・早期に店舗を売却したいというオーナー様はぜひ一度ご相談ください。

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